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黒田博樹の「男気」に染まった広島。
後はポスト・マエケン問題だけだが……。
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byHideki Sugiyama
posted2015/12/30 12:30
残り7勝で日米通算200勝となる黒田。前田のメジャーでの活躍を祈り、2016年の優勝を目指す!
マエケンが抜けた大きな穴を誰が埋めるのか。
黒田、クリス・ジョンソン、福井優也、野村祐輔、大瀬良……。先発の顔ぶれを見れば十分他球団と渡り合えると感じるのではないだろうか。
当然前田の穴は大きい。痛い、痛すぎる。シーズン通してローテーションを守り、206回1/3を投げて15勝。登板29試合中、26試合でクオリティースタートを達成する安定感だ。有形無形の効果をチームに与えてきた。前田の穴を1人で埋められるわけがない。
だからこそ先述の5投手を軸に、1、2人の新戦力が台頭することが望まれる。過去、広島では黒田が抜けても前田が現れ、大竹寛(現巨人)が抜けても大瀬良が現れた。柱が抜ければ、また新しいスター候補選手が生まれるチャンスでもある。そうポジティブに考えられるのも、黒田の現役続行があったから。「マエケン・ロス」の広島ファンも、「ポスト・マエケン」誕生に夢を抱けるのではないだろうか。
ドラ1ルーキーの岡田は中継ぎで経験を。
目を背けたくなる問題は、大瀬良が抜ける中継ぎ陣だろう。'15年に抑えを務めた中崎とクリスマスイヴに獲得が発表されたジェイ・ジャクソンを中心に経験のある今村猛、中田廉がどれだけ輝きを取り戻せるか。
正直、中継ぎには不安が残る。個人的には'15年セ・リーグ優勝のヤクルトのように、外国人枠をリリーフに注いでもいいと思っている。先発のジョンソンは外せないが、助っ人野手は1人に限定し、残る2枠を中継ぎ強化に回してもらいたい。
また、ドラフト1位の岡田明丈(大商大)も1年目は中継ぎで起用しても面白い。最大の武器は真っすぐ。多くの球種を持つが、勝負球として使える球種は少ない。まずは中継ぎとして経験を積ませていくのもアリだろう。首脳陣が望んだ「即戦力」と考えれば、先発よりも中継ぎを推す。先発にめどが立ったとはいえ、中継ぎの重要度が高まっている今、目をそらすことができない課題だ。
投手陣の整備は25年ぶりの優勝に不可欠だ。
「いやいや、'15年の広島は打てなかったじゃないか」という広島ファンの声が聞こえてきそうだ。'15年も広島投手陣は奮闘した。それでもAクラス入りできなかったのは、打線の決定打不足が影響した。
それでも、やはり野球は投手。投手力整備が最重要課題と言えるだろう。'15年に優勝したヤクルトは打力で勝っている印象も、やはり投手陣が支えていた。苦しんだ前半戦は外国人投手で構成した中継ぎ陣で勝ち試合を確実に拾い、館山昌平が復帰したことで先発陣も安定感が増した。投手陣のやりくりは25年ぶり優勝の大きな鍵を握っている。
球団はベテラン黒田と球団最高年俸を更新する6億円で契約を更改した。日本の他球団からの外国人獲得を好まない中、中日での3年間で実績十分のルナを獲得する手堅い補強にも出た。前田が抜けたとはいえ、広島球団は優勝へ本気だ。