猛牛のささやきBACK NUMBER
「言いたくない」「揉めたくない」
プロ野球選手の年俸、悲喜こもごも。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKyodo News
posted2015/12/24 10:30
現状維持の推定5億円で契約更改したエース金子。会見では来年の奮起を誓った。
会見の口も滑らかな大台突破。
年俸を明かしたがらない選手の筆頭が、オリックスでは西勇輝だ。記者会見場に入るなり、素っ気なく「年俸以外の話をしてください」と言った年もある。
しかし今年は笑みを噛み殺したような表情で記者会見場に入ってきた。
「大台、突破しましたか?」という質問に、ニマッと笑って、「したと思います」と答えた。
今季のチーム最高となる2500万円アップ(推定)の、1億2000万円プラス出来高払い(あくまで推定)での更改とくれば、笑みもこぼれようというものだ。
オリックスの投手としては最年少、25歳での大台突破に例年より口も滑らかだった。
「毎年いい評価をしてもらっているので、満足しています。今年は内容的にキャリアハイだったので言うことはないと言われて、率直に嬉しかった。まさか(1億円プレーヤーに)なれると思ってなかった。貪欲に、まだまだ上がるように頑張りたい」
「お金に関して揉めたくない」
一方で、毎年潔く告白する、記者たちにとってありがたい選手もいる。その一人が伊藤光だ。
昨年は、「サインしました。7200万で更改することになりました」とあっさり告白。
しかも、端から見れば、昨年はもっとアップしてもよさそうな活躍だったが、本人は、「正直(もう少し上がると)思いましたが、金額が僕らの評価ですから、それが球団の評価なんだな、と。お金に関して揉めたくないので、素直に評価された額でハンコ押しました」と潔かった。
今年は、一軍で出場し始めて初のダウンだったが、それでも躊躇なく「1500万のダウンです」と明かした。