錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER
1年中戦い続けてオフが2週間だけ!?
錦織圭、日本での休みに何をする。
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byHiromasa Mano
posted2015/12/14 10:50
オフの間もテレビ番組収録、スポンサー関連イベント、そして「テニスの伝道者」としての普及活動が錦織を待つ。実際のところ、オフとは言い難いと思うのだが……。
ランクは上がったが、休みはますます少なく。
思い出したのは2年前の『楽天オープン』での記者とのやり取りだ。
「錦織選手のテニスをもっと見たいという日本のファンのために、オフの間にエキシビションマッチなどをやるということは体力的に可能か」と聞かれた錦織は、こう答えている。
「もちろん日本でもっとエキシビでも試合でもできればいいですけど、そこまでの余裕がまだないです。ツアーもおかげさまでとても長いので……」と苦笑し、「でも、これからテニスを日本で大きくするためにももっと増やしていければと思います。ランキングが上がってくればもうちょっとオフもとれると思うので。ただ、今は時間もなく、試合にも出続けないといけないのでしょうがないです」と。
その時に受けた印象としては、“ちょっと勘弁して”という感じだった。
あの頃に比べればランキングは上がったものの、それ以上にトレーニング量も増えたという錦織に、オフの時間が増えたとは思えない。
「自分のテニスで、たくさん来てくれる日本のお客さんに楽しんでもらいたいし、自分のモチベーションにもつながる。特に子供たちに楽しいと感じてもらって、テニスをするきっかけになったらうれしいです」という錦織のしっかりした“アンバサダー精神”を聞きながら、トップ10に定着するということの責任の意味を考えさせられるイベントだった。
ついに……過労のために入院。
神戸を去るとき、「(12月12、13日のマリア・シャラポワとのイベントの)あとはカリフォルニアでマイケルと練習して、フロリダにも少し帰って、そこからブリスベンに向かいます」と一気に来シーズンの開幕までの予定を言う表情に微かに疲れが見えた。
そしてその3日後、過労のため都内に入院したというニュースが出たのだった。
今シーズンは苦しい時期もあったが、それを乗り切ったあとのオフの間に過労で倒れるとはなんと皮肉なことだろう。
シーズン中の疲れも確かにあったに違いない。押せ押せ的に突っ走った昨年の後半とは違った種類の疲れも、今夏以降のもどかしさの中で溜まっていたはずだ。