錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER
1年中戦い続けてオフが2週間だけ!?
錦織圭、日本での休みに何をする。
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byHiromasa Mano
posted2015/12/14 10:50
オフの間もテレビ番組収録、スポンサー関連イベント、そして「テニスの伝道者」としての普及活動が錦織を待つ。実際のところ、オフとは言い難いと思うのだが……。
フェデラー「プロは本気で遊ぶのが好きな人種」
何年か前に、芝の王者ロジャー・フェデラーとクレーの王者ラファエル・ナダルが、芝とクレーが半面ずつの特製コートで試合をしたことがある。
不真面目だ、無意味だなどと眉をひそめる人もいたが、フェデラーは「プロというのは競技に真摯な一方で、本気で遊ぶことが好きな人種でもあるんだよ」と笑っていた。だから彼らのテニスは楽しいのだと思わず膝を打つような、〈史上最強〉と呼ばれた王者の言葉だった。
そう考えると、錦織のテニスは、あのフェデラーの言葉に近いと感じることがある。どこかに遊び心を隠し持っているような……。
一番高いチケットは1日10万円!!
そんなテニスを披露する場が、このオフは関西でも用意された。
『ドリームテニス』の4日後に始まった、『インターナショナル・プレミア・テニスリーグ(IPTL)』という3日間のイベントだ。
引退したスター選手も含め、男女入り交じったチーム戦で、参加チームは5つ。チーム名になっている5つの国がそれぞれの本拠地であり、その5都市を転戦していく。発足から2年目の今年、日本が加わった。もちろん錦織人気、ひいてはテニス人気の再燃をあてこんでの日本開催だったに違いない。チケットは一番高い席で1日10万円。スポンサーの「モエ・エ・シャンドン」のシャンペンが飲み放題だったり、選手と直接会う場が設けられたり、ほかにもさまざまな特典がついているとはいえ、10万円の中に〈錦織〉が占める割合は何よりも高かったはずだ。
会場は神戸。東京には『楽天オープン』も『ドリームテニス』もあるが、関西に錦織がやって来ることはほとんどない。
3日間のイベントのうち中1日だけは錦織が姿を見せなかった。某CMの撮影をどうしてもこの日にしか入れられなかったのだという。世界5カ所での開催のうち錦織が出場するのは神戸だけだったが、その3日すら満足にスケジュールの確保ができないということが、その多忙ぶりを物語っていた。