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前田健太とポスティングの行方。
~大物投手が続々とFA権獲得~
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2015/11/21 10:30
侍ジャパンでの好投で、メジャーからの評価を確実なものにしたといえる前田健太。
岩隈もFA選手ランク20~25位に。
もうひとり、日本人投手で注目を集めているのは岩隈久志だ。岩隈はFA選手ランキングで20~25位にランクされている。私はもう少し上でもいいと思うが、4月で35歳を迎える年齢と、2015年シーズンのうち2カ月以上を故障で棒に振ったことがマイナス材料として憂慮されたのかもしれない。
それでも、シーズン終盤の投球を見ていると、制球力にはまだまだ衰えが感じられない。タイガースかマリナーズ、あるいはロイヤルズが3年総額4500万ドル程度の金額をオファーしてくる可能性が高いが、もしタイガースへ行けば(ジャスティン・ヴァーランダーとアニバル・サンチェスに次いで)先発3番手の位置が与えられるはずだ。
前田健太は格安、そしてダルビッシュも?
大リーグ全体に眼を向けると、今年はかなりの大物投手がFA権を得ている。デヴィッド・プライス(来季開幕時30歳)、ザック・グリンキー(32歳)、ジョーダン・ジマーマン(29歳)、ジョニー・クエト(30歳)といったビッグネームが、ずらりとショッピング・ウィンドウに並んでいるのだ。
このクラスの投手となると、値段も相当に高い。予想金額でいうと、プライスが7年総額2億2000万ドル、グリンキーも7年総額1億6000万ドルとささやかれている。
それを考えると、前田の8000万ドルは安いと思う。いや、もっと安いのは、2016年初夏には戦線に戻ってくるはずのダルビッシュ有だろう。ダルビッシュの場合は出来高払いを除くと(2012年から'17年までの)6年総額5600万ドルなのだ。それでも、あと2シーズンをレンジャーズで過ごせば、彼もFA権を得ることができる。'86年8月生まれということは、年齢的にもまだまだ若い。トミー・ジョン手術からの復活劇が順調に推移すれば、'17年シーズン終了後には、彼がFA市場の目玉選手となっているのではないか。