マルケス「僕もダニも100％でプッシュした」

　一方、これに先だって行なわれた表彰台会見で、マルケスはこう語っていた。

「レース中は本当に集中して走った。ホルヘはとても強くて、最初の20周は彼についていくのがやっとだった。もっとも離されたときで1秒差だったと思う。そのときに、ダニが遅れていくのがわかった。

　そして、残り6周か7周でホルヘに追いついた。そこでいろいろ考えた、インディアナポリスでは残り3周か2周でアタックしてうまくいった。今回も同じようにしようと思った。残り4周になり、ホルヘにもっとも近づいたところで仕掛けようとしたときにイエローフラッグが見えてきた。そこで次の周まで待つことにした。

　しかし、次の周にはダニが追いついてきて僕をオーバーテイクしていった。その後、彼がはらんだので、僕はインサイドに入って抜いた。そして、再び、ホルヘに追いつこうとしたが、すでに0.5秒ほど遅れていた。最終ラップは限界で走った。最終コーナーで近づいたが優勝するには十分ではなかった。

　僕もダニも100%でプッシュした。気温が高い中で2人ともフロントタイヤに問題を抱えていた。さきほど話したように残り6周のときに優勝できるかもしれないと思った。でもダニが僕をオーバーテイクしてきたことで遅れ、ホルヘに追いつくことが出来なかった」

ロレンソ「いつもは泣かないのだが、今回は……」

　そして、逆転チャンピオンを獲得したロレンソは、こう語った。

「1周目からプレッシャーはとても大きかった。それでも限界でプッシュした。リアタイヤがかなり消耗したので厳しかった。特に右側が消耗していた。そして加速でマシンにかなり挙動がでるようになっていた。転倒したくなかったのでコーナー進入は非常に慎重にならなければならなかった。1分31秒5から31秒後半で走った。終盤は32秒0をキープするのが大変だった。

　サインボードを見るのもとても大変だった。前半はボードが見えにくかったので、とにかくプッシュした。何も考えず全力で走ることに集中した。後半はボードがようやく見えるようになり、マルクが近づいているのがわかった。またダニも追い上げてきていることもわかった。そこでプッシュし続けろと自分自身に言い聞かせた。これが報われ、5度目のチャンピオンを獲得することが出来た。

　今日は、サインボードがよく見えなかったので、バレンティーノのポジションがわからなかった。でも、彼が4番手にいると仮定してベストを尽くした。チェッカーフラッグが見えてようやく大きく呼吸をした。スペインの国旗を手にしたらとても感情的になった。いつもは泣かないのだが、今回は我慢できなかった」

　これが、レース後の3人のコメントの一部である。

【次ページ】　表彰式でマルケス、ロレンソにブーイングが。