マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
親指が捻じ曲がった高橋純平の直球。
「辛抱の夏」を越え、完全復活。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byMasahiko Abe
posted2015/11/10 10:50
髪も伸び、ぐっと大人びた高橋純平。ソフトバンクの長期育成計画でどんな大物に育つだろうか。
故障がなかったら5、6球団の1位もあったのでは。
ドラフト会議で唯一、3球団の1位指名が重なった逸材が、むしろパワーアップして戻ってきた。
故障がなく無事に夏を迎え、今日のボールで夏を投げ進めていたら、間違いなくドラフト1位指名の3球団は5にも6にもなっていたに違いない。
「ストレートは投げ方によって、無数のバリエーションを生むと思ってます。数字のスピードには、そんなに興味持ってないので。肝心なのは、バッターをどれだけ苦しめるボールを投げられるか、ですから」
頭にあることをスイッとまとまった話にできる人間としての“センス”。涼しい顔をして、立ち向かってくる打者をバッサリ斬ってすてるクールなピッチングスタイル。
高校生に「品格」なんて表現はおかしいのかもしれないが、こいつがエースになったら球場に見に行ってやろうか……そんなことを思わせてくれる汗くさくない剛腕が、来季、またしてもパ・リーグに進む。
私の左手の親指はあれからもう10日ほどが経つというのにまだ痛みがひどく、タオルを絞ることすらできないままである。