サムライブルーの原材料BACK NUMBER
霜田技術委員長に聞くマッチメーク。
実り多かったイラン戦、今後は?
posted2015/11/10 10:30
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Getty Images
あれから1年ちょっとしか経っていないのに、随分と昔のことのように思えてしまう。
2014年、夏の終わり。
ブラジルW杯を終え、4年間務め上げた日本代表監督を退任したアルベルト・ザッケローニは故郷の小さなリゾート地チェゼナティコにいた。
美しいアドリア海に面した、レオナルド・ダ・ヴィンチが設計したという歴史と趣を感じさせる港。息子ルカの経営するレストランの前を行き交う人々が目を向けると、町の有名人は軽く手を振って挨拶に応じた。これからの日本サッカーの強化について話が及んだ際、穏やかだった彼の口調が熱を帯びていったのを覚えている。
「次のステップに進むためにはアウェーにどんどん出ていって、イングランドやドイツ、イタリアといった強豪と次々に戦うべきだ」
日本サッカー協会に対しても自分の考えを伝えているのだと、彼は明かしてくれた。
アウェーでのイラン戦はヒットだった。
アウェーに出ていって、強い相手と戦え――。
ハリルジャパンは10月8日にオマーンでW杯アジア2次予選シリア戦をこなした後、テヘランに移動してFIFAランクにおいてアジア最上位のイランとアウェーで戦った。意地と意地をぶつけ合う激しい攻防を見るにつけ、ヒットなマッチメークだと思えた。少なくとも「ザックの提言」が反映されていると感じることもできた。
しかしながらアウェーで強豪とマッチメークをするには、難しい時代に入ってきた。
UEFAは2018年から国際親善試合の代わりに「UEFAネーションズリーグ」を立ち上げて内向き志向となり、国際Aマッチデー期間中に連続して行う2試合は同一大陸内でこなさなければならないというルール変更も日本にとっては低くないハードルとなった。
これからあるべきマッチメークの形とは。その責任者となる日本サッカー協会の霜田正浩技術委員長は、どのように考えているのだろうか――。