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モウリーニョがチェルシー更迭目前!
アザール、そしてセスクは甦るか。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2015/11/07 10:40

モウリーニョがチェルシー更迭目前!アザール、そしてセスクは甦るか。<Number Web> photograph by AFLO

昨年圧倒的な強さでプレミアを制したチェルシーが現在15位。このままでは監督更迭はまぬがれない。

パスの平均本数は87本から今季は71本に。

 セスクは、アザールのように守備面の貢献度不足を公の場で非難されたこともない。チーム内最低の出来と思えた4節クリスタルパレス戦(1-2)後でさえ、指揮官は「交代させなかったことを後悔している選手がいる」という程度の発言にとどまっている。テレビ解説者のルート・フリットは、相手のスピードについていけなかった右SBブラニスラフ・イバノビッチのことだろうと言っていたが、筆者は攻守両面で消えたままだったセスクのことだと理解した。

 しかも、セスクの低調は昨季後半戦からだ。アシスト王の個人タイトルは前半戦の貯金によるもの。2カ月近く得点に絡めなかった今年1月後半以降は、僅か3アシストでシーズンを終えた。

 パス本数も減る一方だ。リーグ戦での平均値は昨季前後半で約87本から約74本に下がり、今季の開幕11戦では約71本。必然的に、昨季前半には平均3.4回だったチャンス創出も今季は1.8回に落ち込んでいる。にもかかわらずセスクは、アザールよりも2週間遅い11節までベンチ降格を命じられなかった。

散見される、守備でも集中力を失う事態。

 だからこそ、セスクはモウリーニョの期待に応えなければならない。「自分の仕事はアザールたちを生かすこと」というチャンスメイカーにすれば、パス本数やリーグ戦で1アシストという今季の数字低下には、周囲の低調も影響しているだろう。フィニッシュ役のジエゴ・コスタも、コンディション不足での突入を認めた今季は出場9試合で2得点にとどまっている。

 セスクは、中3日でスタメンに返り咲いたキエフ戦でも、ボールを預けたラミレスからリターンがなかった場面や、オスカルが折り返しに合わせ損ねた場面で、両手をバタつかせ、地団駄を踏みながらフラストレーションを露にしていた。

 しかし、攻撃面で思うようなプレーができないからといって、中盤の中枢が後方への神経を麻痺させてはならない。その前のリバプール戦では3失点のシーンと同等にショックな場面があった。相手ペナルティエリア付近でセスクへのパスをカットされたチェルシーは、カウンターで2対3の数的不利に陥った。

 自軍MF陣で真っ先に駆け戻ったのは、セスクよりも3mほど相手ゴールに近い位置にいたラミレス。ジョギング状態で抜かれたセスク自身は、ハーフウェイラインを越えた辺りで足を止めてしまった。更に言えば、先発したラミレスにとっては疲れもある79分目、後半にベンチを出たセスクにとっては余力のある投入10分後の出来事だった。

【次ページ】 勝利以外に、自信を取り戻す方法は無い。

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