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東京五輪世代のU-19は逸材揃い!?
小川、堂安……狙うは世界での活躍。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2015/10/11 10:40
初戦となったラオス戦試合前の集合写真。前列左端が堂安律。後列右から3番目が小川航基。
3試合連続得点では満足できない!?
控え組中心で臨んだ第2戦のフィリピン戦でも、「得失点差もあるので、もっと点が欲しいと思って投入した」と、内山篤監督の命を受けて、4-0で迎えた75分に小川が投入された。直後にMF佐々木匠(仙台ユース、高3)のスルーパスからDF2人を切り返しでかわして、冷静にゴールに突き刺し、指揮官の期待に応えた。
共に2勝同士で、大一番となった難敵オーストラリアとの最終戦。ここでも彼は敵のゴール前で危険な存在となり、鋭い反転とスピードに乗った突破から2つのPKを獲得。1本目は坂井に譲ったが、2本目は自ら決めて、3試合連続ゴール。3連勝でのAFC U-19選手権進出の原動力となった。
「3試合連続で点を獲れたけど、どれも1点だけ。それだけじゃチームを楽に出来ない。自分は『1点の選手』じゃないと思っているし、不満足な出来です」
強烈な責任感と自信。風格と凄みが増したエースの内側には、この2つの大きな原動力がある。
海外からも注目されているた堂安律だが……。
「目標は世界でプレーすること。そのために今自分が何をすべきか凄く考えるんです」
すでにG大阪で高校2年生ながらトップデビューを果たしているMF堂安律は、イギリス紙『ガーディアン』が選ぶ1998年生まれの将来有望な選手50名の中で、日本人で唯一選ばれるなど、注目度が上がっている逸材だ。
初戦のラオス戦。右MFでスタメン出場した彼は、ボールを受けてから無理に個で仕掛けようとするあまり、ボールロストが多かった。仕掛ける際も完全にヘッドダウン(ボールを見るため下を向くこと)をしてしまい、相手の裏を巧みに突いて、スピーディーに突破をしていく彼本来のドリブルが影を潜めてしまっていた。
前述した通り、この試合はチーム全体の出来が悪かったからこそ、気迫とは違う“意固地”を前に出したプレーをすると、個の持ち味どころかチームとして好転する機会を逸してしまう。悪循環に陥った彼は、90分を通して、良さを見せることは出来なかった。
試合後、彼に直接そのことを伝えると、「プレーしながらそれは感じていました。やっぱり見られてしまっていますよね、そういう雑なところが。頭では分かっていたのに、そのままプレーし続けてしまったのは、自分の甘さだと思います」と、はっきりとした口調で返してきた。図星とは言え、ミスを指摘されても、その指摘に対し、嫌な顔をせずにしっかりとした答えが出来る。