サムライブルーの原材料BACK NUMBER
2年ぶりの直接FK弾を蹴り込むために。
本田ら選手にハリルが仕掛けた挑発。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byAsami Enomoto
posted2015/09/08 10:50
昨季はミランでも直接FKを決めている本田圭佑。無回転の破壊力はもちろん高いが、コントロールショットの精度も決して低くない。次戦こそ決めて欲しい!
本田は常にプレッシャーを力に変えてきた。
岡田ジャパンを引っ張ってきた中村は、南アフリカW杯の直前にレギュラーから外された。キッカーには、遠藤とともに本田が座った。
南アフリカの地で、黙々とFKの練習に取り組む中村の姿があった。
よく決まっていたのを覚えている。顔色ひとつ変えることなく、ただただ彼は蹴り続けていた。コーチから「もう上がれ」と言われるまで。このことはきっと本田も知っていたに違いない。
その後、本田はデンマーク戦で直接FKを決めている。
中村のプライド、そして本田のプライド。
個々に高め合ったからこそ、あの素晴らしい一発につながった。ルステンブルクのロイヤル・バフォケンで筆者はそう思ったものだ。
南アフリカW杯から5年が経ち、今度は本田が追われる立場となっている。
しかしむしろ、多くの選手にキッカーのチャンスを与えている状況を本田は歓迎しているようにも感じる。
8日、テヘランで行なわれるアフガニスタン戦で本田が直接FKを狙っていくという主旨の記事が、現地からの報道で踊っている。
プレッシャーが掛かれば掛かるほど、彼は自分自身の力に変えてきた。
ハリルの挑発と、己のプライド。
譲れない本田圭佑が成すべきは、ただ一つ。直接、ゴールに蹴り込むだけである。