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山口蛍「ミドルはヘタやなって」
テヘランで自分の“色”を出せ!

posted2015/09/08 10:40

 
山口蛍「ミドルはヘタやなって」テヘランで自分の“色”を出せ!<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

ボランチのスタメン争いは熾烈だが、守備の局面において山口蛍の存在感は際立っている。アジア相手には攻撃の比重も大きくなるため、そこでの成長に期待が集まる。

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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Takuya Sugiyama

 山口蛍は、浮かない表情をしていた。

 ロシアW杯2次予選、日本はカンボジア戦に勝ち、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は公式戦初勝利を挙げた。だが、34本ものシュートを浴びせてわずかに3点。本田圭佑の先制点を含め2アシストはしたが、スコア的にも自分の出来にも納得できなかったのだろう。

 実は、この試合には期するものがあった。

 6月、親善試合のイラク戦とロシアW杯2次予選の初戦となったシンガポール戦ではスタメンから外れた。3月のハリルホジッチ監督のデビュー戦となったチュニジア戦ではスタメンだっただけに、余計に悔しさが募った。

 しかしチャンスは8月にやってきた。国内組だけで東アジア杯を戦うことになり、山口は代表の常連組として中心的な存在になった。奇しくも2年前、同じ大会で優勝して代表に定着した経緯を考えれば、今回は監督の信頼を取り戻す絶好の機会だったのだ。

 東アジア杯は2分け1敗と結果は出なかったが、ハリルは「頑張る選手」と山口のアグレッシブなプレーを高く評価した。その結果、カンボジア戦では柴崎岳らを押し退けてボランチのレギュラーに返り咲いたのである。

試合前、山口に付きっきりだったハリル。

 山口への期待は、カンボジア戦前、ハリルが付きっきりでミドルシュートを教えていたことからもうかがえる。本来、引いた相手に対しては柴崎岳や遠藤保仁などゲームメーカータイプのボランチが有効だ。だが、あえて山口を起用したのは、彼らとの“違い”を見せて欲しいと考えたからだろう。

 ミドルシュートを指導したのも、新たな武器を持ち、引き出しの多いボランチに成長することを期待したからだ。山口自身も監督の期待を意気に感じ、「結果にこだわってアグレッシブにプレーしたい」と、やる気を漲らせていた。

 そのカンボジア戦、山口はやや窮屈にプレーしているように見えた。試合はほぼハーフコートマッチで、山口の良さである攻撃から守備に転じた時の潰しや、ボール奪取をする機会がほとんどなかった。

「もっと相手が押し込んでくる状態や接戦やと自分の持ち味を出せたと思うけど、相手が完全に引いていたんで、やれることがほぼ決まっていた。サイドに揺さぶるか、縦パスを出すか、斜めにクロスを入れるか、それしかなかった。それをやりつつ、それだけじゃダメということでより厳しいところを狙ったけどパスの精度が足りなかった。そこは、自分も含めて全体的に精度を高めていく必要があると思う」

【次ページ】 自重ではなく、ハメを外してもよかった?

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