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新星サニブラウンに世界1位が驚愕!
ボルトに似た「お祭り男」の夢は? 

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及川彩子

及川彩子Ayako Oikawa

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posted2015/07/30 10:50

新星サニブラウンに世界1位が驚愕!ボルトに似た「お祭り男」の夢は?<Number Web> photograph by AFLO

もちろん引き締まってはいるが、シニア選手に比べればサニブラウン・アブデル・ハキームの体はまだまだ細い。ここに筋肉がついてきたとき、どれだけの速さで走るのだろうか。

大舞台でも、終盤に流して外側レーンを狙う余裕。

 真価が問われた200mで、さらなる強さを証明する。

 予選5組目に出場したサニブラウンは、後半大きく流して21秒19の組1位、全体6位。大舞台で自身を見失って爆走するほかの選手のタイムをチェックしながらのレースだった。最速タイムを出したからと言って、いいレーンに入れるとは限らない。組1位は守りつつも後半流して、準決勝での外側レーンを狙った。世界で戦った経験のある山村貴彦コーチの指示だった。

 結果、予選で全体1位のタイムを出した南アフリカの選手は、準決勝で1組目3レーン。サニブラウンは同じ組で得意の外側6レーンに入った。

 準決勝では「調子が良かったら北京世界陸上の標準を狙ってもいいよ。判断は任せるから」と山村から言われていたが、1.7mの強い向い風に悩まされる。しかし20秒62の組1位、全体1位で決勝へ。

 満を持して臨んだ決勝、サニブラウンは再び6レーンに入る。スタートから飛び出し、体2つ分の差をつけて直線へ。「後半の伸びには自信がある」と話していたように、後半さらにリードを広げ1位でフィニッシュラインを駆け抜けた。ゴール後、山村コーチとがっちりと握手をした。2人とも弾けんばかりの笑顔だった。

サニブラウンを指導する山村の方針は「追い込まない」。

 城西大学高校の陸上部でサニブラウンを指導する山村貴彦は、元400mの選手で日本歴代2位の記録を持ち、シドニー五輪にも出場している。日本記録にあと一歩という記録を出しながらケガに苦しんだ自身の苦い経験から、2009年に同校のコーチに就任後はいわゆる強豪校とは一線を画した指導を行っている。

 山村の方針はとてもシンプルだ。

「追い込まない」

 練習自体の質はかなり高く、山村も常に厳しい視線を送っている。しかし過度な練習を課したり、怒鳴ったりということは全くと言っていいほどない。

【次ページ】 リレー出場を本人の選択に委ねる決断。

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