オリンピックへの道BACK NUMBER
ボルトを抜いた16歳・サニブラウン。
「五輪の金と世界記録」狙いを公言。
posted2015/07/28 10:40
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AFLO
7月22日午後5時過ぎ、成田空港に到着すると、待ち受けるカメラや報道陣など多くの人々にひるむことなく、笑顔を見せた。
同時に、待ち受ける人の数の多さは、寄せられる期待の大きさを示しているようでもあった。
日本陸上界のときの人となった高校2年生、16歳のサニブラウン・アブデル・ハキームは、それだけの期待を受けるに相応しい活躍を見せた。
サニブラウンは、7月15日に開幕した世界ユース選手権に出場。100mと200mの2冠に輝いた。成績はむろんのこと、内容が大きなインパクトを与えた。
最初の出場種目100mを自己ベストで大会新記録となる10秒28で制すると、続く200mでも優勝。そのタイム20秒34は、ウサイン・ボルトが持っていた大会記録20秒40を更新するものであり、ユースではボルトの20秒13に次ぐ歴代2位。桐生祥秀が保持していた日本高校記録20秒41も塗り替えることになった。その活躍は、国際陸上競技連盟のオフィシャルサイトでも大きく取り上げられるほどだった。
「4月から目標としてきたので、達成できてよかったです」
サニブラウンは笑顔で語ると、大会を振り返りこう語っている。
「(200mは)満足できる走りができました。(100mは)技術が足りないところがありました」
実際、その走りは完璧とは言えなかった。特に100mでのスタートの出遅れなど、まだ荒削りの部分は確かにある。
それでも好記録をマークしたところに、潜在能力を感じさせる。
元陸上短距離選手だった母の勧めで陸上を始めた。
サニブラウンは、小学3年生で陸上を始めた。きっかけは元陸上短距離選手だった母の勧めだという。
中学校の後半になりある程度身体ができあがってくると、次々に自己タイムを更新。高校生になった昨年は、国体の少年男子B100mを大会新記録で勝つ活躍を見せ、2020年東京五輪で活躍が期待される選手を育成・強化するための日本陸上競技連盟のプロジェクト「ダイヤモンドアスリート」にも選ばれた。