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浅野と争い、寿人を越えて代表へ!
野津田岳人、左足の「ポテンシャル」。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2015/07/23 10:40
野津田岳人の左足は、強烈なポテンシャルを秘めている。日本代表でもミドルシュートに持ち味がある選手は多くなく、台頭が期待される。
「寿人さんに追いつき、追い越せるように」
野津田は、J1通算154ゴールの佐藤の影響を色濃く受けている。小学校時代から憧れ、サッカー教室で「サンフレッチェにこいよ」と言われたのが広島に行くキッカケになった。佐藤は33歳の今も攻守に貢献し、トップスコアラーに届く勢いでゴールを量産している。結果へのこだわりがあるからこその活躍だと、野津田は身近にいて感じている。コスタリカ戦前には、その佐藤からLINEで「貪欲に狙っていけ」というメッセージが入った。「狙っていきます」と返信し、その言葉通り先制ゴールを決めた。大先輩の言葉が野津田の気持ちを駆り立てたのだ。
「寿人さんには、日頃から動き方やシュートとかいろんなアドバイスをもらっていますし、プロとしての姿勢も学ぶべき点がすごく多いです。コスタリカ戦の時も寿人さんのアドバイスをもらって貪欲に狙っていったから、あそこに入っていけたという部分があると思います。今は、日々の練習から少しでも寿人さんに追いつき、追い越せるようにならないといけないと思っています」
そのためにも毎試合、結果が求められる。だがリーグ戦では、6月20日の山形戦以来、ゴールを奪えていない。
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「コスタリカ戦でゴールを上げたけど、2ndステージが始まって3試合、まだゴールを奪えていないんです。チームは3連勝していい流れですけど、やっぱり自分はゴールで勝利に貢献したい。まだ、2ndステージは始まったばかりですけど、LINEのメッセージをもらったように、これからもっと貪欲にゴールを狙っていきたいです」
貪欲にゴールを狙い、フィニッシュは冷静に。
2ー1で勝利した浦和戦後、ミックスゾーンの先ではヒーローになった浅野がたくさんの取材陣に囲まれていた。東アジアカップの50名の日本代表予備登録メンバーにも選出され、ハリルホジッチ監督が視察に訪れた日にゴールを決めるなど、浅野は「使ってみたい」と思わせる選手になりつつある。だが、野津田は、まだA代表に招集されたことがない。
「タクは持っていますよね(笑)。でも、自分も負けたくない。50名枠にはタクだけじゃなく、他のU-22代表のメンバーも入っているんで、自分も入っていかないといけないと思うし、入りたい気持ちがすごく強い。そのためには試合に出るだけじゃなく、チームを勝利に導くような結果を出すしかない。点を取るというところを貪欲に出していかないといけないと思っています」
1stステージは、8試合出場3得点。そのうちスタメン出場は2試合しかない。2ndステージも柴崎、森崎浩司、ドウグラスらとのポジション争いは熾烈だが、競争に勝たずしてリオ五輪のレギュラーもA代表への道もない。
貪欲にゴールを狙いつつ、フィニッシュは冷静に。
お手本となるプレイヤーはすぐ傍にいる。
野津田が一皮剥ければ広島だけではなく、リオ五輪最終予選を控えるU-22日本代表、そしてA代表にとっても大きな力になる。