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浅野と争い、寿人を越えて代表へ!
野津田岳人、左足の「ポテンシャル」。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2015/07/23 10:40
野津田岳人の左足は、強烈なポテンシャルを秘めている。日本代表でもミドルシュートに持ち味がある選手は多くなく、台頭が期待される。
「シュートを決めきれるようになると……」
浅野のスピードに対して野津田の良さは、左足の精度の高いキックと、轟音が聞こえてきそうな強烈なシュートだ。その左足の威力は、広島の森保一監督はもちろん、U-22日本代表の手倉森誠監督も高く評価している。3月に行なわれたリオ五輪1次予選、初戦のマカオ戦ではスタメン起用され、野津田はその期待に応えて2ゴールを決めた。
7月1日、U-22コスタリカ戦では、絶妙のタイミングでボックス内に侵入し、左サイドの亀川の上げたクロスに右足でワンタッチで合わせて決めている。
「野津田の左足はおもしろい。あんまり連携で崩すタイプじゃないけど、右サイドからカットインしてのシュートやセットプレーでのキックはいいもん持っている。あとは、シュートをしっかりと決めきれるようになるともっと恐い選手になる」
手倉森監督は、課題を挙げつつもその左足の爆発力に期待している。
野津田自身も手倉森監督に指摘されたように、課題はシュートにあると自覚している。シュートを放つ意識とゴールに対する意欲は強いが、フィニッシュになると焦りが出るのか、精度を欠くのだ。
「(浦和戦)拓磨からの戻しを決めきれなかったのもそうですし、前半にも決定機があった。自分が勝ち越し点を奪うんだという気持ちはあるんですが、シュートの精度が足りないですね。決定的なチャンスなのにふかしてしまったり、力んで枠を捉え切れないところがまだまだ多い。シュート時の落ち着きが足りないので、練習でしっかり取り組んで修正していきたいと思います」
佐藤寿人「今は健全な競争でいい感じ」
なかなか点は取れずとも野津田のゴールを狙う積極的なプレーは、チームに好影響を与えている。佐藤寿人は野津田、浅野という若手2枚看板の成長が自分にとってもチームにとっても非常にプラスになっていると感じているという。
「自分が若い選手と途中交代が増える中、彼らが仕事ができない選手だと、なんでおまえと代えられないといけないんだよってことになるけど、ガク(野津田)もタク(浅野)もいい仕事をしてくれている。信頼できるレベルになってきているからこそ監督の判断も理解できるし、自分も受け入れられる。実際、浦和戦もガクは難しい状況の中でよくプレーしていたし、タクは2ゴールに絡んでいる。広島は若い選手が成長しないと難しくなるので、今は健全な競争でいい感じですよ」