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川崎には圧勝でも、ブンデスでは?
ドルトムントが抱える“3つの懸念”。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2015/07/09 10:50
自ら2得点を決め、トゥヘル新監督に絶賛された香川真司。今季は、リーグ7位に終わった昨季の雪辱に燃えているはずだ。
人員整理がスムーズに進んでいるのはGKだけ?
ただ、今回のような他の大陸へのツアーは、2008年から7年間指揮をとっていたクロップ監督時代にもなかったことだ(2011年に東日本大震災が発生していなければ、2011年の夏に日本で親善試合を行なう予定だった)。
ドルトムントはどこよりも早いタイミングで公式戦を戦わねばならないのに、そのための準備に費やせる時間は十分とは言えないのだ。
もう一つの問題が、昨シーズンから続いている選手補強に関する点だ。ここでも現時点では順調に進んでいるとは言い難い。
トゥヘルの思惑とおりに進んだのはGKのポジションくらいだ。すでにGKにはスイス代表にも名を連ねるビュルキを獲得して、昨シーズンまでバイデンフェラーと正守護神の座を争っていたランゲラクはあっさりとシュツットガルトに売却した。
昨シーズン開幕前に大きな期待とともに迎えられたラモス、インモービレ、ギンターの3人だったが、昨シーズンはポジションをつかめぬまま期待を大きく裏切った。ラモスの残留は濃厚で、インモービレはイタリアのクラブへの移籍が実現間近とされているが、ギンターはボルシアMGとの売却交渉が失敗に終わっている。
ギュンドガンの残留によって、思わぬ火種が。
また、両サイドバックの控えとボランチでの起用を考えて、レバークーゼンに約1100万ユーロを支払ってカストロの獲得に成功した。彼を獲得した背景としては、昨シーズン終了時に'15-'16シーズン終了時に契約の切れるギュンドガンが移籍することが確実視されていたからだ。
ところが、バイエルンやバルセロナへの移籍の噂があったドイツ代表ボランチの交渉は失敗に終わり、当初のプランから一転して'16-'17シーズン終了時までの契約延長が決まったのだ。
昨シーズンは不振にあえいでいたチームの中で、エースのオーバメヤンとともに安定したパフォーマンスを見せたギュンドガンの残留は明るいニュースではあるのだが、それが思わぬ火種を生むことになった。
まず、カストロに大金を投じた正当性に陰りが見えた。さらに、ギュンドガンと同じくボランチで2008年からプレーするベンダーが、移籍を示唆しながらも契約延長(それに伴い年俸もアップしたと見られている)したギュンドガンの残留を快く思っていないのでは、とビルト紙は指摘している。