ブンデスリーガ蹴球白書BACK NUMBER
川崎には圧勝でも、ブンデスでは?
ドルトムントが抱える“3つの懸念”。
posted2015/07/09 10:50
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
「我々はチャレンジャーなのだ!」
就任会見でそのように語ったのが、新監督のトゥヘルだった。
彼が「チャレンジャー」であると言ったのは、ドルトムントにとって最優先に取り組むべきはブンデスリーガのタイトル奪還であり、トップ4に入ったバイエルン、ヴォルフスブルク、ボルシアMG、レバークーゼンに対して劣っている部分があるという考えからだ。
ただ、その言葉は的を射ているのかもしれない。トゥヘルはあらゆる意味で「チャレンジャー」なのかもしれない。
現地の『スポーツビルト』誌もこう分析している。
「カルト(的な存在の)クロップ監督の後任には巨大なプレッシャーがのしかかる」
さらに同誌は、昨シーズンのドルトムントで顕在化した怪我人の問題、セットプレーからの得点力不足の問題、チーム内の序列やスタメンの選定の問題など、10点の取り組むべき課題がトゥヘルの前に横たわっていると記したほどだ。
30日にEL予備予選がある中で、川崎には6-0の圧勝。
その中でも最大の問題は、トゥへルに残された時間があまりに少ないことだ。ドルトムントの新シーズン最初の公式戦は7月30日に行なわれる。EL予備予選の3回戦のファーストレグが組まれているのだ(対戦相手は7月17日の抽選で決まる)。これはブンデスリーガのどのクラブよりも早い。
それを見越してドルトムントが新シーズンに向けた最初の練習を行なったのは6月30日。とはいえ1部に昇格したばかりのダルムシュタットはリーグ内で最も早く6月20日に新シーズンの活動をスタートさせていたし、ケルンのように6月の代表戦を戦った選手とそうでない選手とを分けずに一律で6月24日にスタートさせたクラブもある。ドルトムントの始動日はリーグ内で10番目だ。
加えてドルトムントは、7月5日から11日までアジアツアーが組まれていて、7日には日本で川崎フロンターレとの一戦に臨んだ。試合自体は香川真司の2ゴールなど6-0で大勝し、駆けつけた日本のドルトムントファンを沸かせる展開を見せた。