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早稲田、8年ぶりの予選会でも4位。
相楽新監督が語る全日本大学駅伝。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byTakeshi Nishimoto
posted2015/07/03 11:00
箱根の「花の2区」で区間賞を獲った経験もある最上級生、高田康暉。早稲田が待望する「エース」の走りができるか。
瀬古、渡辺、竹澤、大迫というエースの系譜。
今年の早大の課題はずばり、「エース」の育成になってきそうだ。
早稲田といえば、それこそ瀬古、渡辺、竹澤健介(現・住友電工)、大迫傑(現・ナイキ・オレゴン・プロジェクト)といった日本を代表するランナーが駅伝でも爆発的な力を見せ、レースを盛り上げることを期待されている。
さらに、昨今の駅伝では序盤のエース区間での順位が総合成績にも大きく影響する。早大が好成績を残すときは、どの駅伝でも必ず1区から2区で主導権を握り、他校を揺さぶるパターンだ。
しかし、今季はエース区間を安心して任せられる選手がまだ育っていない。相楽監督はやはり、上級生に期待を寄せる。
「予選会を振り返ると、高田はそれまでに教育実習もあり、十分に練習を積めていない状況のなかで、果敢に攻めてくれたと思います。欲をいえば、もう少し後半粘ってくれれば、“エース”としての走りになったのかな、と。2年生の時に箱根の2区で区間賞を取っていますし、実績はあります。スピードを磨いて、エース区間で他校のランナーと思い切り勝負できるようになれば、早稲田としても楽しみになります」
予選会を回避した中に1人、エース候補が。
そしてもうひとり、相楽監督が期待を寄せるのが平和真(3年/愛知・豊川工)だ。全日本の予選会は回避し、日本選手権の5000メートルに出場したスピードランナーである(13分53秒64で25位)。
「平は身長が178センチあり、長距離選手としては大柄です。ストライドも大きく、早稲田の練習で集団走をするとちょっと窮屈そうな走りのときもありますが、レースで外国人選手と競うと、ちょうどリズムが合い、将来性を感じさせます。昨季はケガで思ったように練習が積めませんでしたが、しっかりと練習が出来れば、ロードシーズンには主要区間を任せられると思います」
“エース候補”はいるのだ。
その意味で、夏合宿が早大にとっては大きな意味を持ちそうだし、相楽監督の手腕が問われる。