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「3位でも、優勝のようなものだ」
シメオネが語る哲学とクラブへの愛。
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byTomoki Momozono
posted2015/06/13 10:40
2011年12月からアトレティコの指揮を執るシメオネ。来季はどのようなサッカーを見せてくれるのだろうか。
「今季は満足できるシーズンだった」
だが――。
「今季は満足できるシーズンだった」
シーズン中はあまりメディアの取材に答えてこなかったシメオネが、ようやく口を開いたのはシーズンを終え、母国アルゼンチンに帰国してのことだった。
シーズン終盤から幾度も申し込んでは難色を示されたインタビューだったが、長い戦いを終えた安堵と故郷に戻った安心感からか、突如、インタビューを受けるという連絡が届いたのだ。多忙のため電話での取材となったものの、その口調は明るかった。
バルセロナとレアル・マドリーの後塵を拝してのリーガ3位という結果に悔しさを露わにするかという予想に反して、まず返ってきた答えは、
「リーガ3位という結果は、我々にとっては優勝のようなものだ」
シメオネの策は「量ではなく“質”」だった。
昨季は彼らを退けて優勝したとはいえ、圧倒的な予算規模を有するバルセロナとレアル・マドリーに対して、シメオネはオフから冷静な分析をしていたという。豊富な資金で超一流選手を補強した2強に対するシメオネの策は「量ではなく“質”」だったとも明かす。
長年自らの右腕として頼りにしてきたアシスタントコーチ、“モノ”・ブルゴスとともに獲得候補選手のリストを吟味し、外野の声に惑わされることなく、本当に必要な選手だけを選び抜いた。
その一方で、対戦相手の研究にも余念がなく、ブルゴスとともに幾度も映像を見直しては、アトレティコのセットプレーについては、かなり細かいところまで作りこんでいった。
その結果は、リーガ3位、CLベスト8。昨季ほどの華々しさはなくとも、あの優勝がまぐれでなかったことを示すには十分だろう。
この「継続」こそ、シメオネがアトレティコで指揮を執るうえで、もっとも大切にしていることのひとつだ。そのため、この春には2020年までの長期契約にもサインをした。