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「3位でも、優勝のようなものだ」
シメオネが語る哲学とクラブへの愛。
posted2015/06/13 10:40
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph by
Tomoki Momozono
ルイス・エンリケ率いる新体制でバルセロナがリーガ、国王杯、そしてチャンピオンズリーグの3冠を制して終えた今季のヨーロッパサッカーは、バルサのMSN、レアル・マドリーのBBCなどストライカーたちの活躍が目についた1年でもあった。
その一方で、監督としては未知数だったバルサのルイス・エンリケ、知将らしいしぶとさでCL決勝の舞台まで駒を進めたユベントスのアッレグリ、個性的な選手たちと強い絆を育んだレアル・マドリーのアンチェロッティ、今季も新たな形に挑戦し続けたバイエルンのグアルディオラなど、監督たちの個性も際立っていた1年ともいえる。
真価を問われるシーズンとなったシメオネだが……。
なかでも今季も目を離せなかったひとりが、リーガ・エスパニョーラのディフェンディングチャンピオンであり、昨季CL準優勝のアトレティコ・マドリーを指揮する、ディエゴ・シメオネだ。
バルセロナとレアル・マドリーがタイトルをわけあう「2強」体制が長く続いていたスペインで、昨季のアトレティコの優勝は“サプライズ”以外のなにものでもなかった。それだけでなく、CL決勝では、同じマドリードをホームタウンとするレアル・マドリーに敗れたものの、堂々の準優勝。
しかも監督が現役時代は「悪童」と呼ばれたアルゼンチン人のディエゴ・シメオネとくれば、「ラッキーなタイトル」とライバルチームのサポーターが皮肉を言いたくなるのも当然だ。シメオネがその手腕の真価を問われるのは、タイトルを獲った翌年――つまり、2014-15シーズンに他ならなかった。
1年前の躍進を支えたエースのジエゴ・コスタやベテランのダビド・ビジャ、守護神ティボウ・クルトワ、サイドバックのフィリペ・ルイスら主力を根こそぎオフの移籍で失い、明らかにダウンした戦力で、今季もリーガとCLというタフな2つのタイトルを争わなくてはいけない。厳しい結果が待ち受けていると予測した人も少なくなかった。