スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
メッシの反逆、SD解任、会長の告発。
バルサはいかに結束を取り戻したか。
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byREUTERS/AFLO
posted2015/06/13 10:50
CL決勝後、メッシとシャビは2人だけでトロフィーを手に撮影に応じた。
ピケ「唯一無二の世代だよ」
「昨季は大いに苦しんだけど、再びこの場に戻り三冠を祝えるなんて最高だ。思いっきり楽しもう」
CL制覇の翌日。予定より1時間近くも長引いた凱旋パレードを終えて辿り着いたカンプノウのピッチにて、マイク片手にファンに語りかけるメッシの立ち居振る舞いにはリーダーとしての風格が滲み出ていた。ふにゃふにゃに酔っぱらった状態で放送禁止のスラングを口走った6年前とはまるで別人である。
「難しいとは言ったけど、今後も戦い続けることに迷いはない。このチームには野心と希望が溢れているから。欲しがっていた三冠はここにある!」
最後に「ビスカ(万歳)バルサ! ビスカ、カタルーニャ!」と言い終わる間もなく、複数のチームメートがメッシを囲んで揉みくちゃにし、「カンペオーネス! カンペオーネス!」と歌いはじめた。
満面の笑みを浮かべ、子供のようにはしゃぐ選手たちを眺めながら、ユーベ戦後にピケが言っていた言葉を思い出した。
「真面目な話、これまでたくさんのロッカールームを経験してきたけど、これほど良い雰囲気のチームはなかった。これだけの才能が集まり、ピッチ内外で良い関係を築いている。唯一無二の世代だよ」