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巨人に3連勝した工藤采配の“妙”。
原監督も唸る「戦う前の圧力」とは。 

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田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2015/06/08 11:40

巨人に3連勝した工藤采配の“妙”。原監督も唸る「戦う前の圧力」とは。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

就任以来初の5連勝で首位を走るソフトバンク・工藤公康監督。就任1年目での優勝も視野に入ってきたか。

エンドランのサインで高田に意識させたものとは?

 工藤監督が解説する。

「純粋にランナーを進めたいのであればバントでもいいんですよ。でも、よりチャンスを広げたいのであれば、足を絡めたエンドランのほうが可能性はありますよね。そこで強い打球を打てれば、野手の間を抜けてくれることだってあるし、内野が打球を弾くことだってあるんで。だから、僕は選手に『コースに逆らわずに強くバットを振って引っ張れ』と言っています」

 工藤監督は、解説者時代から「監督の仕事は、自分の意向をコーチや選手に浸透させていくこと」と話していた。高田が、あの場面で着実に任務を遂行しようとしたのは言うまでもない。彼が打席を振り返る。

「状況によってヒット狙いかゴロを打つとか対応は変わりますけど、あそこは1アウトだったんで『転がさないと』とは思っていました。球種はストレート狙いで、『変化球だったら引っ張ろう』っていう意識です。打った瞬間、ライトの亀井(善行)さんが前を向いていたんで『フライや……』と思ったんですけど、まさか入るとは」

結果オーライには、伏線があった。

 結果オーライの本塁打。捉え方によってはそう解釈されるかもしれない。しかし、選手とベンチの信頼関係が構築できていたからこそ、工藤監督は躊躇することなくエンドランのサインを出せたことは強調したい。指揮官の言葉がそれを裏付けしているからだ。

「ピッチャー(高木勇人)が上位打線を警戒していたなかで下位打線に回ってきたわけですけど、高田のなかで相手のピッチングのイメージができていたんでしょう。それがいい結果に繋がったんだと思います。ホームランになりましたけど、普段からコンパクトなスイングで強い打球を打つ練習、試合に入る準備をしっかりやってきましたから。その成果が出ましたよね」

【次ページ】 原監督も認めた「圧力をかけてくる」攻撃。

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