錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER
海外メディアが錦織圭を優勝予想!?
今年の全仏OP、過去と何が違うのか。
posted2015/05/21 11:00
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph by
Hiromasa Mano
最近、ネット上でたまたま見つけた動画で、「無人島に3人だけテニスプレーヤーを連れて行くとしたら、誰を選ぶか」というユニークな質問にトップ選手が答えていた。
錦織圭はしばし思いを巡らせると、含み笑いをしながら「(ノバク・)ジョコビッチ……(アレクサンドル・)ドルゴポロフ……(ガエル・)モンフィス」と間をおきながら答える。
これが意外に深い!
錦織が「……」の間に「楽しくプレーできる相手」を探していたことは、名前の挙がった3人のテニスを知る人ならわかるに違いない。
錦織世代の最大のライバル、ミロシュ・ラオニッチなど、「無人島にいる期間は長いのか?」などと細かいことを聞き返し、長い間考えたわりには「ロジャー(フェデラー)、ラファ(ナダル)、ノバク」と何の捻りもない回答で、それぞれ性格やテニス観が出ていて愉快だった。
錦織が選んだ選手との間に生まれる“楽しさ”の質に少しずつ変化をつけているのも、まるで多彩なテニスそのもののよう。
自身もファンも喜べた、モンフィスとの試合。
トリッキーな技巧派ドルゴポロフとは、今年開幕戦のブリスベンでダブルスを組んで準優勝し、「今までで一番楽しいダブルスだった」と振り返ったが、それは見ている側にも伝わった。
モンフィスには昨年、芝のハーレ(ゲリー・ウェバー・オープン/ドイツ)で勝ったのが唯一の対戦だが、錦織は「ずっと対戦したいと思っていた相手だった」と明かしている。アクロバティックでエンタテインメント性の高いモンフィスとの試合は実際、ファンの心を躍らせたものだ。
そしてジョコビッチだが、真っ先に彼の名を発したのは、圧倒的に強い者に挑戦する楽しさ、スリルにほかならないだろう。
ローマ・マスターズ準々決勝。
錦織はそのジョコビッチと、今年初めて対峙した――。