テニスPRESSBACK NUMBER
錦織圭が全仏初戦で“凡戦”を演出!?
ピークを大会2週目に持ってくる理由。
posted2015/05/25 11:30
text by
秋山英宏Hidehiro Akiyama
photograph by
Hiromasa Mano
メインコートに次ぐ格のコート・スザンヌ・ランランに、ポールアンリ・マチュー(フランス)がまず入場。続いて錦織圭が姿を現した。
5月24日、全仏オープン1回戦。マチューは2008年に世界ランキング自己最高12位をマークした33歳。地元のベテランに応援が集まり、錦織が“完全アウェー”の戦いを強いられることも考えられた。しかし、選手を迎えるファンの拍手、歓声はほぼイーブンだった。
今大会の優勝候補の一人にも挙げられる錦織は、フランスでも認知度は急カーブで上昇しているらしかった。
全仏初戦。番狂わせを招かぬよう、慎重に戦った錦織。
第1セットの立ち上がり早々、試合が動いた。1-1からのマチューのサービスゲームをブレーク。
「イェイ!」
錦織が太い声で吠えた。
試合序盤にこうして気合いを入れるのは珍しい。試合後の会見で錦織が心境を明かした。
「いいポイント(の取り方)で、ディフェンスでしのいでブレークできたので、いつもより喜びは大きかった」
この先制パンチが大きかった。
地元選手はのせてしまうとやっかいだ。観客の後押しで普段以上の力を発揮するからだ。これは、相手の出鼻をくじき、観客の期待をしぼませる、大きなブレークだった。マチューも「ブレークが早すぎた」と悔やんだ。
序盤はミスが目立った錦織だが、スコアで先行したことで、次第に安定感が出てくる。第1セットは錦織が2度目のブレークに成功して6-3で奪った。第2セットも錦織が2-0と先行。一方的な試合展開になろうとしていた。
だが、ここでマチューが踏ん張った。