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「怖いなと思いました」車いすテニス全仏王者・小田凱人17歳が語る加藤未唯“失格事件”「加藤選手は結果で取り返してくれた。さすがだと…」

posted2023/07/06 17:00

 
「怖いなと思いました」車いすテニス全仏王者・小田凱人17歳が語る加藤未唯“失格事件”「加藤選手は結果で取り返してくれた。さすがだと…」<Number Web> photograph by Getty Images

全仏オープンの女子ダブルスで”失格判定”を受けた加藤未唯は、その後の混合ダブルスで優勝し、異例のスピーチを行なった

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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「日本スポーツマンシップ大賞2023」の表彰式がスポーツマンシップ・デーの6月24日、都内で行われた。グランプリは平昌オリンピックのスピードスケート女子500m金メダリスト・小平奈緒さん、特別賞はラグビーのクラブチーム「湘南アルタイルズ」が受賞。またヤングジェネレーション賞には、先の全仏オープンの車いす部門男子シングルスで見事にグランドスラム初制覇を成し遂げた小田凱人(ときと)選手が選出された。

 全仏オープンでは女子ダブルス3回戦で、加藤未唯、アルディラ・スーチャディ組が危険行為で失格となった“事件”があったが、その一部始終をローラン・ギャロスで見ていたという小田に、スポーツマン(パーソン)シップという観点からこの“事件”をどう考えるかを聞いた。

「リアルタイムでその瞬間も観ていました。対戦相手が凄く抗議して、審判も流される形で進んでいった感じもありましたよね。またボールキッズの反応的に何か悪く映ちゃったので、それがああいう結果になったのではないかなと思いもします」

 試合会場となったローラン・ギャロスの食堂で一連の出来事を観ていたという小田は、「詳しいことはわからないですが」と前置きして、そのときの印象をこう語った。

 出来事をもう一度整理する。

 スチャディがリターンミスして相手ペアのポイントになった直後、コートに落ちたボールを拾った加藤が、相手サイドに返球しようとラケットで打った。そのボールがボールガールの首付近をノーバウンドで直撃。ボールガールが痛みと驚きで泣きじゃくる事態となったのだ。すぐさま加藤は彼女に謝罪し、故意ではなかったことを説明し、審判も警告処分にしようとした。

 しかし対戦相手のサラ・ソリベストルモ、マリエ・ブズコバ組が強く失格を主張。大会レフェリーはボールガールが泣き止まない事態を重く見て、加藤、スーチャディ組に危険行為による失格を宣言したというものだ。加藤はビデオでの検証を求めたが認められなかった。

「怖いなとは思いましたね。加藤選手からしたらアクシデントかなというのはありますけど、そうなったときにあれだけ相手に言われて、審判がああいう決断を下す。それを観ちゃうと、やっぱりすごく(処分が)重いなというのは感じました」

小田が考える問題の本質とは?

 一連の騒動の中で批判を浴びたのが、審判が警告を出した直後に、執拗に失格を主張した相手ペアの振る舞いだった。その行為にスポーツマン(パーソン)シップに反するものだという声が巻き起こったのである。

【次ページ】 小田が考える問題の本質とは?

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