錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER
海外メディアが錦織圭を優勝予想!?
今年の全仏OP、過去と何が違うのか。
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byHiromasa Mano
posted2015/05/21 11:00
昨年の全米OPの準決勝でジョコビッチに劇的勝利を果たした錦織だが、5月15日にはローマで敗れている。対戦実績は2勝3敗……全仏で再度の撃破なるか!
ジョコビッチに「とどめ」がさせなかった錦織。
ラリーでは主導権を握ることが多く、錦織の優勢が明らかだった第2セットではジョコビッチをベースライン後方へ下げ、歴史的勝利を挙げた全米オープン準決勝をも彷彿とさせた。
しかし、大胆かつ巧妙に追い詰めたあとの「とどめ」でミスを重ねたのが痛かった。
「相手がジョコビッチ」という強い意識とも無関係ではなかっただろう。前回の対戦となる昨年のツアーファイナルズでも、錦織は唯一の決定的なチャンスでミスをおかし、「リスクを負いすぎた。攻め急いだ」と悔やんだが、同じことが今回のフルセット負けにも言えた。
プラス、集中力を鈍らせる疲れもあった。
マドリード、ローマは2週続けて開催される。マドリードでは準決勝まで進んだが、ローマでは初戦からすでに疲労が表情にも露骨に出るようになっていた。
ローマでは3セットだけだったとはいえ、週の半ばからの連日連戦となっていたこの2週間は、5セットマッチで基本的に1日おきのグランドスラムよりも、ある意味厳しいかもしれない。深夜に及ぶ試合も珍しくなく、前週のマドリードの初戦を午前1時半に終えた錦織は、翌日の体調について「時差ボケのような二日酔いのような感じ」と表現していた。こうしたタフな2週間を戦い抜く体調管理と、集中力維持の困難さは想像に難くない。
マドリード、ローマと連戦の疲労はピークを迎えるが……。
錦織は過去、この時期に不運なケガが多く、マドリードとローマの両マスターズシリーズの本戦に出場できたのは過去に2013年の一度だけである。しかし、これは錦織のフィジカルが特別に弱かったわけではない。
たとえば、“無人島へ連れて行きたい友人”ドルゴポロフも、今年は首のケガでバルセロナ、マドリードと欠場せざるをえなかった。派手なパフォーマンスによるサービス精神旺盛のモンフィスもまたケガが多く、ローマを欠場しているのである。