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韓国メディアも呆れる柏の勝負強さ。
水原の肉弾戦を封じた“二段構え”。
text by
吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2015/05/20 11:30
2ゴール1アシストを決めてアウェーの地で躍動したレアンドロ。試合を通して終始、旺盛な運動量でチームを牽引した。
肌寒さとは対照的な、激しい点の取り合い。
記録上の気温は21度ながら、日本から移動した身にはスタンドでの肌寒さが感じられた。平日開催のゲーム、約4万4000人収容のスタジアムは6164人と寂しい入りだった。このあたりは近年、プロ野球人気に押され気味のKリーグの実情がうかがい知れた。
しかしピッチ上では、それらを覆すような熱い戦いが繰り広げられた。柏のしたたかさ、水原のフィジカルの強さ、スキルが試合のエッセンスとなり、90分を通じ熱気の続くゲームとなった。
開始1分、左サイドに開いた鄭大世のセンタリングからヨム・ギフンに決めて水原が先制。しかし12分、レアンドロからの浮き球の絶妙なラストパスを茨田陽生がニアに決め同点。さらに30分に得たPKをレアンドロが決め2-1と柏が逆転すると、後半に入った55分には右サイドからのセンタリングを再びレアンドロが合わせ3-1。
59分に鄭大世にダイビングヘッドを決められ3-2となると、ホームチームの次のゴールを求めるスタンドも一気に盛り上がっていった。しかしその後は柏が水原の猛攻を凌ぎ切り、終了のホイッスル。敵地のスタンドを沈黙させた。『スポーツソウル』も「リベンジは果たせず」「(試合前にキープレーヤーと予想された)鄭大世、ヨム・ギフンがそれぞれ1ゴール1アシストと活躍も、逆転負け」と試合を伝えるほかなかった。
試合の「入り」は最悪だった柏。
柏にとってゲームのポイントは2つあった。
まずは開始直後の不意の失点から、しっかりとチームを立て直した点だ。
試合の「入り」は最悪というべきものだった。
ボランチの栗澤僚一は「ミスがあったし、集中力を欠いてしまった」と失点のシーンを反省した。水原のFW鄭大世が柏DFに背を向けたままボールをキープ。そこから左足でのセンタリングを許し、ヨム・ギフンに中央で合わせられた。26日のホーム第2戦でも要注意となる2人のコンビネーションプレーだった。鄭はこのシーンをこう振り返った。
「ボールキープをする時、こちらが一瞬肩を落として、力を抜いた状態になった。その後即座にグッと力を入れてセンタリングを上げたから、柏の選手は次の展開は反応しづらかったのでは。こちらとしてはヨム・ギフンとの意思疎通ができているからこそできたプレー。彼は僕がああいう状況でもセンタリングを上げることを知っているし、僕も彼が中に入ってくれることを分かっていた」(鄭大世)