サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
久しぶりに現れたスター、浅野拓磨。
永井謙佑とは異なるスピードの質。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2015/05/19 10:50
代表合宿に参加した浅野拓磨。現在の日本代表に、スピードを武器にするFWは多くない。彼の爆発的なスピードをハリルホジッチ監督はどう見ているのだろうか。
五輪代表から帰還後、一気に才能が覚醒。
今シーズンも開幕後2試合はスタメンで出場したが、不発。3月にマレーシアで行なわれたリオ五輪1次予選もチームは3連勝して最終予選に進んだが、浅野は苦い表情でいた。初戦のマカオ戦はスタメンで出場し、野津田岳人や南野拓実らがゴールを決めて7-0で大勝した試合でも浅野は不発に終わり、残り2試合もアシストこそ決めたがゴールを奪うことができなかったのだ。
「チームが勝って1次予選を突破できたことは嬉しいですけど、個人的にはゴールを奪えなかったですし、自分の持味をうまく出せなかった。FWとしては点を取るのが仕事なので何もしていないのと同じ。かなり悔しいです。このままだとこのチームに生き残れないので、FWとしての質をもっと上げていかないといけないと思っています」
その危機感が浅野を覚醒させた。
マレーシアから戻ると4月18日のFC東京戦でリーグ戦初ゴールを決め、5月2日の仙台戦で2点目を決めた。いずれもカウンターから縦パスに素早く反応して決めたが、浅野のスピードと突破力が生きたゴールだった。チームメイトの水本裕貴は、一皮剥けつつある浅野をこう評した。
「縦のスピードと裏への飛び出しはチームのひとつの武器になっています。チームが違うパターンで点が取れるようになったのはすごく大きいし、点を取ってからは自信を持ってプレーするようになりましたね」
今まさに、急成長の真っ只中。
若い選手は短期間で自信をつけ、グッと成長することがある。浅野は今、その真っ只中にいるのだろう。それは彼の言動からも読み取れる。
5月の代表合宿では右サイドに置かれた。浅野はFWではなく、サイドという現状の評価にストライカーとしてのプライドを滲ませて、こう言ったのだ。
「監督と話をしていないので、なぜ自分がウイングなのかということが正直分からないんです。ただ、与えられたポジションでやるしかないですし、そこでやるからには自分の特徴を出して点を取りたいです」