サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「試合は出たい。ベンチにもいたい」
岡崎慎司が代表で買って出た二役目。
posted2015/05/18 10:30
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Kyodo News
最初に、「あれ?」と思ったのは昨年の大みそかだった。
今年の1月に開かれたアジアカップに向け、年末から年始にかけて行なわれた強化合宿でのこと。ミニゲームで華麗にゴールを決めた岡崎慎司は、飛び上がり、目の前にいたハビエル・アギーレとハイタッチをかわした。「いよぉーー!!!」という岡崎の声にかきけされたが、少し離れた観覧者用のスタンドにまで音が聞こえてきそうなハイタッチだった。
そこまで喜んだ理由について、岡崎はこう話していた。
「目の前をみたら、監督がすごく興奮していたから(笑)。自分もあんな風に狙い通りに行くと思っていなかったので。気持ちよくて、とっさに出た感じっすかねぇ」
代表の練習を見られる時間は、長くない。
メディアの人間といえども、日本代表の練習を見られる時間はそれほど長くない。練習の最初の15分はメディア向けに公開されることが多いが、それ以降の見学を許されることはほとんどない。冒頭の15分にしても、ウォーミングアップと簡単なパス回しで終わってしまう。練習の一部始終が公開されるのは、試合翌日の練習くらいで、そのときは地元のファンにも公開されるケースが多い。
しかし昨年末から新年にかけての合宿は基本的に公開されており、選手たちが練習する様子を目にできる数少ない機会だった。それゆえに新鮮に映った面もあるだろうし、あのときの岡崎のアクションはアギーレの作り出す雰囲気に乗せられた面もあったのかもしれない。実際、アギーレのもとでの練習の雰囲気について内田篤人はこう話している。
「今までオレが参加した代表のなかで最も、みんなが楽しそうにやっていましたね。激しくガツガツとやって、声も出ていて盛り上がっていた。とにかくアギーレさんがそういう雰囲気を作っていた」
しかしそれから3カ月後、今年の3月に大分で行なわれたチュニジア戦翌日の練習で岡崎がみせた態度には明確な意図があった。