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ハリルJ、W杯2次予選は楽勝なのか?
課題は3年後に向けた未来への投資。
posted2015/04/15 11:50
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Takuya Sugiyama
2008年2月6日のタイ戦と聞いて、あなたは何を思い出すだろうか。
というよりも、何かを思い出せるだろうか。
2011年9月2日の北朝鮮戦は、記憶にとどめている人がいるかもしれない。それでも、試合の詳細まですぐに語れる人は少数派に止まるはずだ。
2次予選のグループ分けで一喜一憂の必要は無い。
ロシアW杯のアジア2次予選の組み合わせが、4月14日に決定した。40の国と地域を8つのグループに分けた抽選で、日本はシリア、アフガニスタン、シンガポール、カンボジアとグループEに振り分けられた。
胸をなで下ろす組み合わせだったのか、それとも厳しい現実と向き合うグループなのかを論じるには、率直に言って意味がない。非生産的である。
日本、オーストラリア、韓国、イラン、イラクらが第1シードとなった2次予選で、“死の組”が生まれることはない。グループの行方が読みにくいのは、ウズベキスタン、バーレーン、北朝鮮が同居したグループHぐらいだ。
最終予選へ進出するのは、グループ首位の8カ国と2位の8カ国のうち上位4カ国である。2位になっても半分は敗退となるわけだが、日本が他グループの動向をうかがうことになるわけもない。
2次予選は、まだ名勝負が生まれるステージではない。
南アフリカW杯の2次予選で、日本はタイと対戦している。前述した'08年2月の一戦は、埼玉スタジアムで行なわれた開幕戦だった。冷たい雪に見舞われたなかで、日本は4-1で来訪者を退けている。
ブラジルW杯への道のりは、'11年9月の北朝鮮戦からスタートした。後半終了間際、吉田麻也、ヘディングシュート、という3つのキーワードを聞けば、1-0というスコアを思い出す人もいるだろう。
いずれにせよ、日本にとっての2次予選とは、誰もが記憶にとどめる名勝負が生み出されるステージではない。首位通過を当然のタスクとする本大会へのプロセスである。これはもう、上から目線ではなく客観的な現実だ。