金本自身はどう振り返っていたのか？

　金本は現役時代、'03年の自分の働きをこのように振り返っていたことがある。

「3番で右打ちを心がけたり、赤星とエンドランをやったり。そういう、本来なら2番的なチームバッティングができたのはよかったですけどね。ホームラン19本っていうのはさすがに少ないなって思いましたけど、あの年は開幕からファンもフィーバーしていてね。チームとして勝つことが義務付けられていて。勝てば選手もファンも喜ぶし、『だったら、もっと勝たないかん』と思ってやってきたなかで、自分としてもゲームメークというか、そういうことをしながらプレーを高めることができたっていうのは大きかった」

　大補強。勝ちを義務付けられているチーム事情。ファンは優勝を実現できると信じている。全てが今のオリックスと重なるではないか。

　昨季2位となったオリックスは、チーム全体が勝利に飢えるようになった。だが今季は、新戦力が加わったことで打線の装いは変わっている。極端に述べれば、全く別のチームになった、ということだ。

　だからこそ、戦い方も見直さなければならない。

　優勝へのカギは、選手たちの繋ぎの意識。個人主義の「点」ではなく、チーム打撃の「線」をもって得点を重ねること。それを全うできれば、オリックスの優勝の可能性が潰えることはない。