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黒田博樹の年俸が、なぜ5分の1か。
改めて日米の野球市場を考える。

posted2015/04/08 10:50

 
黒田博樹の年俸が、なぜ5分の1か。改めて日米の野球市場を考える。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

黒田博樹が登板する日、マツダスタジアムは真っ赤に染まる。視聴率も地元では30%を越えた。この事態を“奇跡”のままにせず、再び起こるように仕組みを整える必要がある。

text by

並木裕太

並木裕太Yuta Namiki

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Hideki Sugiyama

4億円と21億円

(NPBとMLBの年俸格差)

 広島カープに復帰した黒田博樹投手は、今シーズンのプロ野球で最も注目を浴びている存在だと言っていいでしょう。昨シーズンまで所属していたニューヨーク・ヤンキースから再契約を熱望され、サンディエゴ・パドレスからは1800万ドル(約21億円)もの巨額オファーがあったとされる中、推定年俸4億円で古巣・広島への復帰を決めた黒田投手の決断は“男気”と称賛されています。

 たしかにメジャーの一線級で活躍する選手が日本球界に戻ってくることは、カープファンのみならず、プロ野球界全体にとって歓迎すべきことです。もしカープが24年ぶりにリーグ優勝し、日本シリーズに進出した場合の広島県内の経済波及効果は約256億円に上るとする予測もされているほどです(中国電力のシンクタンク「エネルギア総合研究所」による試算)。

なぜ日本の年俸はメジャーの5分の1なのか。

 しかし、メジャーでは20億円以上もの値がつく選手が、日本での年俸は5分の1になってしまうという現実に、私はある種の切なさを感じます。黒田投手の投球を日本で見られる喜びをかみしめる一方で、日本球界はその事実にもしっかりと目を向ける必要があるのではないでしょうか。

 そこでまず、黒田投手の“価値”をいくつかのデータから探ってみたいと思います。

 この数年、メジャーのトップ選手として活躍を続ける投手から、35歳以上に絞って抽出してみると、黒田投手を含めて15人の選手がピックアップできました。先発が9人、リリーフが上原浩治投手を含む6人です。そのうち先発投手に限り、昨季の各種データを別表にまとめました。

 

選手名
所属チーム
年齢
(現在)
試合数 勝利 敗戦 防御率 イニング数 WHIP 年俸
黒田博樹
(ヤンキース)
40歳 32 11 9 3.71 199 1.14 1600万ドル
A.J.バーネット
(フィリーズ)
38歳 34 8 18 4.59 213.2 1.41 1470万ドル
ティム・ハドソン
(ジャイアンツ)
39歳 31 9 13 3.57 189.1 1.23 1100万ドル
R.A.ディッキー
(ブルージェイズ)
40歳 34 14 13 3.71 215.2 1.23 1200万ドル
クリフ・リー
(フィリーズ)
36歳 13 4 5 3.65 81.1 1.38 2500万ドル
ブロンソン・アローヨ
(ダイヤモンドバックス)
38歳 14 7 4 4.08 86 1.29 950万ドル
バートロ・コローン
(メッツ)
41歳 31 15 13 4.09 202.1 1.23 900万ドル
ジョン・ラッキー
(レッドソックス
→カージナルス)
36歳 31 14 10 3.82 198 1.28 1595万ドル
カイル・ローシュ
(ブルワーズ)
36歳 31 13 9 3.54 198.1 1.15 1100万ドル
平均 38.2歳 27.9 10.6 10.4 3.86 176 1.26 1380万ドル

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