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ストレート主体の投球で一皮むけた?
路線変更の斎藤佑樹、今年は勝てる。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph bySPORTS NIPPON
posted2015/03/23 12:15
「周りが良くても悪くても、自分が良くないと(先発ローテ争いには)勝てないんで」と、己の道を行くべくコメントしていた斎藤。
チームメイトに死球を与えても、インコースへ!
収穫があった反面、課題も見つかった――。
そうはいっても、昨年まではストライクからボールになる変化球を多投するスタイルが主だった斎藤にとって、大きな変化であることは間違いない。何より、今の身上に対して一片の迷いもないのだから。
斎藤がテーマと語るように、キャンプのフリー打撃から、チームメートに死球を与えても両サイドにしっかり投げることに強いこだわりを見せるなど、変革の姿勢は顕著に現れていた。オープン戦で思い通りに制球できなかったとしても、「変に意識しないで、簡単にストライクを取りにいこう」と、一途に新たなスタイル構築に努めてきた。
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その成果が、先のヤクルト戦で形となったわけだ。
「シーズンを通して今日のピッチングができれば……」
いつもは斎藤を見る目が厳しい栗山英樹監督も、一定の評価を口にする。
「斎藤佑樹らしさを出してくれましたね。非常にテンポよく投げて、打たせて取る姿がありました。一軍で投げるのが久しぶりって感じがしないね。それが佑樹らしさ」
らしさは出せている。だからといって、ローテーションが確約されたわけではない。報道陣から斎藤の起用について聞かれた指揮官は、淡々と現状を述べるだけだった。
「10人くらい先発がいるんでね、そろそろ方向性を考えないといけないんですけど、みんな結果を出してくれていますから。戦略上の問題もあるんで、どういう流れでチームにとってプラスになるのか? そういうのをイメージして決めていきたい」
チームにとってプラスとは、言うまでもなく勝てる投手であり、質の高いパフォーマンスをコンスタントに出すことだ。斎藤自身、それはしっかりと認識している。
「他(の投手)もいいですから、ローテーションに入れるかは分からないですけど、シーズンを通して今日のピッチングをしていればチャンスがくると思います。そこでいいピッチングができれば勝ちがつくというか。開幕して自分がどこで投げるかは分かりませんけど、今の状態をキープして、気を引き締めていきたいです」
たった2イニングのマウンド。その短い登板でインパクトを与えるだけの力が、今の斎藤にはあった。
栗山監督が賞した「斎藤佑樹らしさ」。
その積み重ねによってチームの信頼が増していきさえすれば、日本ハムに勝利がもたらされるはずだ。
悩める右腕が完全復活する日も近い。