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過去最低成績の陰でスター誕生!
なでしこに現れた度胸の点取り屋。
text by
栗原正夫Masao Kurihara
photograph byAFLO
posted2015/03/10 16:35
ポルトガル戦で自身代表初となる得点をあげた横山久美。彼女の得点能力は、なでしこでも傑出している。
6月W杯のラッキーガール候補!? 横山久美。
その横山自身、デビュー戦で緊張があったと振り返りながら、ふてぶてしくもチーム最多のシュート数を放ち、ゴールまで挙げてしまったのだから、6月開幕のW杯に向けラッキーガールとしての期待が高まるのも当然かもしれない。
「あまり自分のなかではシュートを打っている意識はなかったですが、ゴールの場面は、得意な角度というかパターンだったので、打った瞬間、入ったと思いました。(ホッとした?)まだまだこれからです。やっとスタート地点に立てたくらい」
初々しさの中にも度胸の良さが垣間見れるコメントは、彼女らしさの表れともいえるだろう。
先制しながらも、失点が続き……敗北。
そのポルトガル戦から中2日、デンマーク戦で消化不良気味だったチームに、前線に菅澤、中盤に好調の宇津木瑠美、最終ラインに川村、有吉佐織らを加え、佐々木監督も「トップ・オブ・トップに近い」という強豪フランスに挑んだ。
結果は、43分に前半唯一のチャンスとも言えた好機に川澄奈穂美のゴールで先制したものの、53分に不運なファウルで与えたPKで同点とされると、70分と84分にはいずれもマイボールをつなぎ切れずに、逆にインターセプトから相手に背後を許して2失点。
先手を取りながらも、後半の開始と同時にプレッシャーを強めてきた相手の勢いを受け止められずに逆転される形となった。
いい面と悪い面の両方が出た試合だった。
収穫は、2月の親善試合でもアメリカに2-0と快勝するなど勢いに乗るフランスに対して、前半だけとはいえ中盤で宇津木、宮間あやらがゲームを組み立て、前線の大儀見優季への縦パスからチャンスをうかがえたことか。
大儀見もいい面と悪い面が極端に出てしまったので、評価が難しいとしながらも、悲観的なことばかりではないとしている。
「前半の入りがよかっただけに、もったいない試合だった。1-0でリードしていたからか、後半はどこか無意識に下がってしまった感覚があって……そこでズルズル引いてしまった。2失点目は自分が下がって受けなきゃいけない状態になって、そこで囲まれて取られて……。チームとして苦しい時間帯を解決できなかったのが、いまの状況」