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過去最低成績の陰でスター誕生!
なでしこに現れた度胸の点取り屋。
posted2015/03/10 16:35
text by
栗原正夫Masao Kurihara
photograph by
AFLO
アルガルベ杯3日目、勝てば決勝進出の望みもあったフランス戦だったが、日本は逆転負けでグループC3位となり、最終日にアイスランドとの順位決定戦に臨むことになった。
アイスランドに勝っても順位は9位。2011年以降5大会連続で同大会に出場してきた日本だが、残念ながら過去最低の成績で終えることが決まってしまった。
ただ、フランス戦を終えた佐々木則夫監督が「結果を出せなかったのは申し訳ないが、課題が見つかったと同時に、手応えも掴めた」と振り返ったのは、決して強がりでも楽観論でもなく、正直な感想だったように思う。
今夏のカナダW杯出場国、それも上位を争いそうなアメリカ、ドイツ、フランス、ブラジル、スウェーデンらが揃ったアルガルベ杯。各国の結果は違えども、それぞれに課題を抱えているのは事実であり、あくまでもW杯本番へ向けての調整の場であることに変わりはないのである。
ポルトガル戦で見えた、次世代スター候補選手。
初戦デンマーク戦に敗れてから中1日で迎えた第2戦のポルトガル戦は、連敗を避ける意味でも是が非でも勝ち点3が欲しい一戦であった。そこで、佐々木監督は過密日程とチーム力の底上げをねらい、大胆にも先発11人の総入れ替えを決断した。
立ち上がりは引いてゴール前を固めてきたポルトガルに攻めあぐねる時間帯もあったが、前半にセットプレーから川村優理のゴールで先制すると、後半にも横山久美、菅澤優衣香が続き、大会地元のポルトガルに3-0と勝利した。
期待の新戦力の働きが光ったが、とくに代表デビュー戦でいきなり豪快なミドルシュートを決めた横山は、大会直前にU-23代表から“飛び級”で追加招集された21歳のMF。12年に日本開催だったU-20W杯で3位入賞を経験しているが、その2年前の10年U-17W杯では、北朝鮮戦で圧巻の5人抜きゴールを決め、メッシ、ネイマールらとともにFIFAの年間最優秀ゴール賞候補にノミネートされた過去を持つ。
昨季はなでしこリーグのひとつ下のカテゴリー、チャレンジリーグのAC長野パルセイロ・レディースに所属していたものの、30得点とゴールを量産し2位に14点の差を付けて得点王になるなど、佐々木監督もそのゴール嗅覚を高く評価する。