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ユーベのポグバに136億円オファー!
「ジダンを売った男」が語る移籍論。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2015/01/22 10:30
ポグバは昨夏のブラジルW杯では5試合で1得点。仏代表のベスト8進出に貢献し、最優秀若手選手にも選ばれた。
モッジが明かしたジダン売却の舞台裏。
「ジダン放出が表沙汰になって、メディアが騒ぎ立てる頃には、新チームを長く支える強固なフレームとなるべき彼ら4人の買い取り交渉はとっくに終わっていた。今見ても、決して悪くない買い物だろう?」
元ユベントスGMモッジは、今も自ら手がけた“ジダン・トレード”を自画自賛し、それがもたらした成果にほくそ笑む。14日付のトリノの地元紙『トゥットスポルト』紙で明かした当時の舞台裏が生々しい。
「('01年の)2月か3月に、レアルの会長選挙を控えていたペレスから最初の電話があった。ジダン獲得を会長選の公約にしたい、という相談だった。この時点で、ジダンは私の中で“売却済み”の選手になった」
「ペレスは最初のオファーで700億リラと言ってきたが、会長選に向けたアドバルーンが欲しいのはわかっていた。そこにつけこんで、1500億リラまで値を釣り上げてやった。実際、売却は3月のうちに決まっていた。ジダンはユーベで完成し、売ったときがピークの選手だった。額を積まれれば、どんなに大事な選手であっても私は躊躇なく売った」
'01年の夏、モッジはジダンの他にも、FWインザーギを400億リラでミランへ、GKファンデルサールを105億リラでフルアムへ、それぞれ売却した。
“ポグバ・マネー”で誰を買うのか。
カルチョ・スキャンダル発覚からほぼ9年が経ち、処分期間の明けたモッジは77歳になった。今もまるで悪びれた素振りを見せず、カルチョの裏を知り尽くす評論家として、サッカー世論へ波紋を投げかけ続けている。移籍市場の大物フィクサーとして絶大な権力を誇ったモッジは、まるで国際商社の敏腕トレーダーだった。
「(ジダンが)高く売れるのは確実だったから、“売った後に得た資金で、誰を買うか”が重要だった。後先考えずに、イブラヒモビッチとチアゴ・シウバを(パリSGへ)売り飛ばしたミランのように愚かな真似はしてはならない。計画性こそが、メルカートでは大事なのだ」
今夏から大幅にアップするTV放映権料と新スポンサー契約をもって、ユベントスは今夏の補強大攻勢を視野に入れている。そこに、“ポグバ・マネー”の1億ユーロが加われば、CLの頂点を狙える戦力を整えるべく、'01年夏の再現がいよいよ現実味を帯びてくる。