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メッシ移籍を阻止するために
バルセロナがやるべきこと。 

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横井伸幸

横井伸幸Nobuyuki Yokoi

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posted2015/01/15 10:30

メッシ移籍を阻止するためにバルセロナがやるべきこと。<Number Web> photograph by Getty Images

2007年以来8年連続で、バロンドール最終候補トップ3にノミネートされたメッシ。サッカー界のレジェンドは今後の動向にさらなる注目を集めることになる。

TVで移籍の噂を否定してみせたが……。

 バルサがメッシなしでも勝てるチームなら、一選手に監督の首を差し出すような真似を会長は決してしないだろう。しかし、ここ数年のバルサは組織的に守る敵(すなわちほぼ全ての敵)を崩す手段をメッシ以外に持てないでいる。

 おまけに彼はクラブの顔であり、カンテラのシンボルであり、ソシオの誇りであり、世界のサッカー史に残る記録をいくつも作ってきた稀代のタレント。(尋常ではない方法を必要とするとはいえ)解消可能な不満のせいで移籍されたら、クラブそのものが激震することとなり、会長は辞任を免れない。それどころか「クラブ史上最悪」というレッテルを貼られてしまう。

 シーズン真っ只中に余計なニュースを提供することを好まないメッシも11日、王者アトレティコを破った直後バルサTVに出演し、ここ数日の騒動に言及して「移籍するつもりはない」と明言した。

 だが、それはあくまで当面のことであって先はどうなるかわからない。メッシには生前のビラノバ元監督に説得されバルサ退団を思いとどまった過去があるし、昨年のW杯開幕前には故郷ロサリオで次のように語っている。

「バルサは自分の家だと何度も言ってきたけど、愛されていないとか態度を疑われてるとか感じたら他所へ行くよ」

移籍を示唆する発言の数々。

 その後、昨年11月にはアルゼンチンのオレ紙に同様の意味合いを持ったコメントが載った。

「バルサに残りたいとは言ったけれど、全て思い通りにいくわけじゃない」

 また、12日のバロンドール授賞式では前夜の残留宣言が期間限定である可能性を自ら示唆していた。

「来年、自分がどこにいるかはわからない。バルサで引退したいと言ってきたけれど、サッカーの世界では何が起こるかわからない」

 昨シーズン末、残留と引き換えにメッシがバルサに求めたのは年俸アップや待遇の改善ではなく、再びリーガとCLの頂点を狙えるチーム作りだった。

 メッシをバルサに留めておくにはただそれだけでいいのだ。

 が、これが何より難しい。

【次ページ】 メッシは、会長選をも左右する。

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