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2014年を終えた羽生が今、思うこと。
「壁の先には壁しかないのかな」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byYohei Osada/AFLO SPORT
posted2014/12/29 13:00
高橋大輔に続き全日本フィギュア3連覇を果たした羽生。ジュニアGPファイナルを制した宇野昌磨(17歳)が2位となった。
「壁の先には壁しかないのかな、と」
――NHK杯のときに見えた壁は乗り越えたと思いますが、見えたものは?
そう尋ねられると、羽生はこう答えている。
「壁です。壁の先には壁しかないのかな、と。人間というのはそういうものだと思うし、課題ができたら、人間は欲深いものだからそれを越えようとします。たぶん、僕は人一倍欲張りなんだと思うのと同時に、それを達成するためにサポートしてくれる環境がある。幸せ者だなと思います」
乗り越えた先には壁があったと、羽生は言う。
そして壁を越えた先に再び壁を見せているのは、他でもない羽生の貪欲なまでの向上心そのものだということも、よく自覚しているのである。
全日本選手権優勝で、2015年3月の世界選手権代表選考基準をクリアした羽生。これからも、幸不幸いかなる出来事が起こるにしろ貪欲にそれを糧としていくに違いない――世界選手権までの3カ月間、羽生はいったいどのような成長を見せてくれるのだろうか。