6試合で決めた12ゴールの半分以上に清武が絡んだ。

　走行距離だけではない。プレーのキレも明らかに増してきた。

　ヴォルフスブルク戦では、清武にボールが集まるのを警戒した相手が3人がかりでボールを奪いにきた場面で、あっさりと守備陣の間にパスを通してみせた。またフライブルク戦では、後半開始時から右サイドバックが交代して、清武にマンマーク気味でついてくるほどの警戒ぶりだった。

　何より、この6試合で清武が絡んだゴール数の多さは見逃せない。清武自身の記録は1ゴール、2アシストながら、チームが決めた12ゴールのうち、7ゴールに絡んでいる。そして、そのうちセットプレーから5ゴールを演出しているのだ。

　ターニングポイントになったドルトムント戦について、清武は笑顔をまじえてこう話す。

「（報道については）全然知らなかったです。ドルトムント戦が終わって、淳平さん（※山守淳平。昨シーズンまで清武の通訳を務め、現在は香川真司の通訳）と真司君と話していたら、コーチが来て、『メングラ戦（ボルシアMG）のあとは新聞などですごい批判されていたけど、良かったな』と言われて。それで、オレは知ったくらいなんです。“あぁ、そうなんや！”みたいなね」

酒井宏樹から聞いたハノーファーとアギーレの共通点。

　リーグ前半戦の終盤は、普通ならば疲れが見え始める時期。そのタイミングで清武がどんどん調子を上げてきたのには確かな理由がある。

　リーグが開幕してまもない9月、清武はこんなことを話していた。

「ハノーファーのウォーミングアップのやり方が、アギーレさんのチームとすごく似ていると（酒井）宏樹から聞いたんですよ。しかも、このやり方がすごく良いんです。ストレッチ一つとっても、細かく身体を動かすし、試合前のアップでも短時間でパーっと上げていく。そういうトレーニングを続けていると、自然と身体がキレてきましたね」

　昨シーズン、清武はニュルンベルクで残留争いに巻き込まれている時期、練習後に筋力トレーニングに向かうことが日課となっていた。当時のことを清武はこう語る。

「不安だったんです。だから、何かしないと、気が済まなかった」

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