ブンデスリーガ蹴球白書BACK NUMBER
今最も好調な日本人、清武弘嗣。
逆転のメンバー入りが代表を変える?
posted2014/12/29 10:40
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Getty Images
意外に思えるかもしれないが、その足跡をたどれば自然と納得できるはずだ。
いま、ブンデスリーガに所属する日本人のなかで最も脂の乗ったプレーを見せている清武弘嗣が、W杯後はじめて日本代表に選出された。9月から11月までの3度の代表活動期間で一度も日本代表に呼ばれていない選手のなかで、1月に始まるアジアカップのメンバーに名を連ねたのは清武ただ一人だ。
「本当にビックリしましたよ。『いぃ?』みたいなね。『ここで、オレかぁ!?』と思いました。(9月からの3度の招集メンバーに)入っていないなかで選ばれるというのは、普通はなかなかないじゃないですか? 試されてもないわけですから。その中でも入れたというのは、アギーレさんがチェックしてくれていたということでしょうし。最後に良い流れが巡ってきたんだなって思いますね」
清武はそう語るが、理由は明らかだろう。所属クラブで素晴らしい活躍を見せているからだ。
日本人で前半戦すべて出場したのは長谷部と清武だけ。
7月にニュルンベルクからハノーファーへ移籍した清武は、左サイドのMFの控えとしてシーズンをスタートした。開幕戦こそ途中出場だったが、怪我人が出たこともあり第2節のマインツ戦でトップ下として初先発を果たすと、そこからは左MFやトップ下で先発に名を連ね続けている。
11月22日にキャプテンで10番を背負うシュティンドルが負傷明けから先発に戻ると、清武は一貫して左MFとしてスターティングメンバーに名を連ねている。気がつけば前半戦17試合すべてに出場して、そのうち16試合に先発した。リーグ前半戦の17試合すべてに出場している日本人選手は他に、長谷部だけだ。
とはいえ開幕時から順風満帆だったか、というと少し違う。
「ここに来た時は、エディ(プリブ)もいて、ラース(シュティンドル)もいて、レオ(ビッテンコート)もいて、最初は控えでスタートするんじゃないかなと考えていましたけど……。怪我人が出たりして、チャンスが巡ってきたなかで17試合全てに出られたというのはすごく良かったし、(リーグ前半戦の)後半からすごく調子が上がってきたというのもすごくポジティブにとらえていいかなと思います」
清武の言葉にある通り、ハノーファーで現在の地位を確立するのは決して簡単な道のりではなかった。