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連覇目指す京都の鬼か、快速3歳か。
「二強」が激突するマイルCSを占う。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2014/11/22 08:00
3歳時の菊花賞でもオルフェーヴルの3着に入るなど、京都コースでは距離不問のトーセンラー。武豊にGI100勝目をプレゼントした末脚は今年も炸裂するか。
3歳マイル王の快速馬はどう挑む?
今年のNHKマイルカップを制したミッキーアイル(牡3歳、父ディープインパクト、栗東・音無秀孝厩舎)である。
昨秋の500万下、ひいらぎ賞を、翌日同じコースで行われた朝日杯フューチュリティステークスよりコンマ5秒も速いタイムで逃げ切り、「幻の2歳王者」と呼ばれた。5連勝でNHKマイルを制し「幻」ではない本物の3歳マイル王となるも、つづく安田記念では不良馬場のなかハイスピードで飛ばしすぎて16着に惨敗。スピード馬にありがちな脆いタイプかと思いきや、秋初戦の前走スワンステークスで古馬勢を一蹴した。
先週(12日)、坂路で放馬しカラ馬のまま49秒8という速いタイムで駆け上がってしまい、音無調教師は「大誤算です」と頭をかかえた。幸い馬体にダメージはなく、主戦の浜中俊を背にした本追い切りでは抜群の動きを見せた。
放馬の追い切り、音無厩舎にとっては吉兆か。
実は、音無厩舎の馬がGIの1週前追い切りのとき、坂路で乗り手を振り落として駆け上がって猛時計を出したのは、これが初めてではない。2007年の皐月賞の1週前追い切りで、ヴィクトリーが放馬したまま坂路を走り、48秒台のタイムを叩き出したことがあるのだ。本番の皐月賞では1コーナーを回りながら先頭に立ち、そのまま逃げ切ってしまった。
7年前の再現、となるのだろうか。
「怖がりだから逃げているわけではない。トップスピードに早く入ってしまうので、他馬より先に行ってしまうだけ。速く走っている馬をわざわざ引っ張って下げる必要はないし、持久力もありますからね」と音無調教師。
3歳でマイルチャンピオンシップを制したのは、過去30回のうち、1988年のサッカーボーイ、'97年のタイキシャトル、2000年のアグネスデジタルの3頭のみ。勝てば14年ぶり4頭目の快挙となる。
前をビュンビュン飛ばすこの馬を、後ろからトーセンラーが虎視眈々と見据え、かわしにかかる……という、わかりやすく、かつ、非常に見応えのある展開になりそうだ。