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バルサがセビージャへ逃した“大魚”。
20歳のデニス・スアレスが急成長中。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byAFLO
posted2014/11/20 10:30
セビージャの若きキープレイヤー、デニス・スアレス。U-17から各世代の代表にも所属し、2012年のU-19欧州選手権では主力として優勝に貢献した。
ルイス・エンリケの構想外となり、移籍を選択。
ところがシーズンが終わったところで「ルイス・エンリケの新チーム構想に空席がない」という問題が勃発する。
同じ時期、バルサはラキティッチの獲得交渉をセビージャと行なっており、移籍金の他にセルジ・ロベルトの期限付き貸し出しを要求されていた。
だがルイス・エンリケは、セルジ・ロベルトを戦力として計算している。
そこでバルサはデニス・スアレスを代替選手とし、当人にセビージャへのローン移籍を持ちかけた。トップチーム入りが難しいことを理解した彼はローンを次善の策と捉え、イングランドやドイツ、ポルトガルからも届いていたオファーの中から、最終的に自分の意志でセビージャを選んだ。
そして新天地で早くも活躍し、バルサに掌を返させたわけだ。
20歳にしてセビージャのキープレイヤーに。
今季のデニス・スアレスが観る人を驚かせている点は、なにより1部への順応の速さ。成長の早さは、デビュー直後の9月にリーガのベストイレブンに選ばれたほどだ。
その後も自分の持ち味を淀みなく出し続け、トップ下から自由に動いては絶妙なタイミングで正確なパスを蹴る。得意のドリブルをもって、敵の守備バランスを独りで崩していく。
効果と華を兼ね備えたプレイはウナイ・エメリ監督のみならずファンをも大いに喜ばせ、20歳にして加入まもないセビージャのキープレイヤーとなっている。「水が合った」というのもあるだろうが、クラブ史上最高額を補強に費やしながら燻り続けるバルサのフロントは、歯噛みして悔しがっているのではないだろうか。
そんなデニス・スアレスをセビージャから取り戻すことをバルサは考えているという。
しかしローンの条件のせいで、簡単にはいかない。