スポーツ・インテリジェンス原論BACK NUMBER
全日本駅伝に見る、箱根の“勢力図”。
駒澤が大本命も、「5強」に可能性が。
posted2014/11/07 16:30
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Nanae Suzuki
今季は「5強」の争い。
出雲駅伝が台風の影響で中止になってしまったのはなんとも残念だったが、夏合宿の情報を総合すると、全日本、そして箱根では次の5校が優勝を争うと予想された。
駒澤
東洋
明治
青学
早稲田
そして全日本でふたを開けてみると、駒澤の独走だった。
今年の駒澤、いや、今年も駒澤は強い。
ハッキリと前半重視型に変身した駒澤・大八木監督。
全日本で4連覇を達成した駒澤の大八木弘明監督は、恵比須顔。そのワケは、レース前に描いたプランがばっちりハマったからだ。
「優勝を争う学校が19.7kmある最終8区にエースを投入してくることは予想できましたから、ウチとしては1区と2区でリードを奪い、逃げ切ろうというプランでした」
1区に村山謙太(1万m27分台、現役学生のなかでは持ちタイムトップ)、2区に駅伝で抜群の実績を持つ中谷圭佑を投入。
村山は思ったような出来ではなかったものの、それでも区間賞を獲得(城西大の双子の弟・村山紘太も同タイム)、2区の中谷は東洋大の服部勇馬に区間賞は譲ったものの、2位の東洋大に1分1秒の大差をつけてレースの主導権を握り、逃げ切りに成功した。
「ミスがなかったのが勝因ですね。いまの駅伝ではひとつでもミスがあったら、とりかえしがつかない。いいレースが出来ました」
今回の駒大のレースを見て、大八木監督は「前半型」の監督に変身したと確信した。
かつての大八木監督は、どの駅伝でも「くぼみ区間」と呼ばれる地味な区間(全日本でいえば5区から7区、箱根では7区や8区)にエース級を投入し、後半型の発想で優勝を重ねてきたものだった。
しかし、ここ数年はエースを惜しみなく前半に投入する形を取っている。
箱根でも、同じ戦略で逃げ切れるのだろうか?