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<トリプルスリーへの接近> 山田哲人 「こんなん想像してなかった」 

text by

日比野恭三

日比野恭三Kyozo Hibino

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photograph byNanae Suzuki

posted2014/11/07 11:30

<トリプルスリーへの接近> 山田哲人 「こんなん想像してなかった」<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

「今が一番、調子が悪い」と語った試合での大活躍。

 女優に臆せず接する図太さの一方で、野球選手としての山田は臆病なほど繊細だ。

 9月7日、神宮球場での巨人戦を前に口にした言葉もいたって弱気だった。

「今が一番、調子が悪い。9月入ってから、分かんなくなってます……」

 ところが、発言がウソであったかのようにホームランを含む3安打3打点と大活躍。思えば話を聞いたのは、恒例のティーバッティングの前だった。あの練習はきっと、様々な邪念を振り払う、1試合限りの魔法のような意味もあるのだろう。試合後、お立ち台に上がった山田がマイクを握る手は、たしかに震えていた。

30本塁打より「30盗塁の方が確率は高いかな」。

 少し先に目を向ければ、3割・30本塁打・30盗塁、いわゆるトリプルスリーも可能に思える。'02年の松井稼頭央(当時西武)以来、10年以上も達成者は出ていない。

 水を向けると、山田は真っ向否定した。

「盗塁は無理ですよ(今シーズンは15盗塁)。いや、ヨーイドンなら足には自信あるんです。でも勇気も要るし、自分には技術がないので。キャンプで練習して来年はもっといっぱい走ります。でもホームランバッターじゃないですから、そういう意味では30盗塁の方が確率は高いかな」

 30本塁打が手の届かぬ数字でないことは、今年の実績が物語っているではないか。チームは最下位ながら打撃快調のスワローズ打線にあって「俺も負けてられへんなって、勝手に切磋琢磨してる」と語る若きリードオフマンは、トリプルスリーの次なる達成者となるポテンシャルを十分に秘めている。

革命を見逃すな。~大谷翔平と錦織圭~

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