Sports Graphic Number MoreBACK NUMBER
<トリプルスリーへの接近> 山田哲人 「こんなん想像してなかった」
posted2014/11/07 11:30
text by
日比野恭三Kyozo Hibino
photograph by
Nanae Suzuki
最多安打に首位打者争い。プロ4年目の飛躍を支えたのは、
不断の努力と、尊敬する先輩からのある一言だった。
日本人右打者シーズン最多安打を更新したヤクルトの山田哲人。
Number861号に掲載された若きヒットメーカーの記事を全文公開します!
女優の川口春奈が始球式に登場した8月6日、ヤクルトの山田哲人は試合前のキャッチボール相手を務めていた。その一場面をとらえた写真が報じられると、一部のネットユーザーが嫉妬まじりに騒ぎ立てる事態となった。
写真には、仲睦まじく互いの手と手を合わせる2人の姿が写っていた。マスコミの仕込みならともかく、川口の手が大きいことに気づいた山田が自分から手を取りにいったという「目撃者」の証言まで飛び出し、掲示板はヒートアップした。
「ネットでそんなんあったんすか(笑)。たしかに僕からいきました。でかいなと思って比べたら、ほんとに僕よりでかくて。でも、いいじゃないですか。ちょっとくらい仕掛けないとね」
大阪の履正社高校を出てプロ4年目。関西人特有の愛嬌と若者らしい潔さを漂わせて、山田は笑った。
杉村コーチとのティーバッティングは11種類にも上る。
今季の飛躍はめざましい。5月半ば以降、打率3割を一度も切ることなく、阪神のマートンと熾烈な首位打者争いを続けてきた。安打数は169本(数字は9月12日時点のもの)で、両リーグトップ。本塁打もセ・リーグ3位の23本を数える。日本人に限ればリーグ最多だ。
これには、本人が一番驚いている。
「こんなん想像してなかった。自分で言うのもなんですけど、ようやってるなあって」
二塁手としてスタメンに定着した昨季は、94試合に出場して打率.283、3本塁打。高卒3年目としては決して悪くない成績だが、ここまで急激に成長するとは誰も予想していなかった。
最大の要因として挙げられるのは、試合前に必ず行なう杉村繁打撃コーチとのティーバッティングだ。流し打ちを意識したり、ワンバウンドのボールを打ったり、バランスボールに腰を下ろしてスイングしたり。そのパターンは11種類にも上る。
「最初はコーチに言われて始めたんですけど、4月の時点で、これを毎日やるのはしんどいなあってイヤになってたんです。それでも続けていると習慣づいてきて、やらないと試合に挑めないと思うようになった。この練習をしないといけない、したい、という気持ちに変わりました」