足が止まった祖母に、天の助けが！

　26km関門を越えたあたりで、さすがに祖母の足が重たくなってきました。時折走ってはみるものの、10秒間ほどでまた歩いて、という状態。予定ではこの辺りはもう少し走るつもりだったので、このペースでは次の関門に間に合いません。

　そして28kmあたりからは、100mのランニングも祖母はできなくなりました。29kmからは私の腕を握るようになり、引っ張って早歩きを促すのですが、これが重い……(笑)。

　どうにか引っ張りながらも、30km関門を通過したところで、「おばあちゃん辛い？　レース止める？」と聞いても、祖母は「やめへん！　なんで止めなあかんの？」と頑なです。とはいえ、表情と声は元気でも足は限界。

　とにかく前へ前へと引っ張りながら進んでいた私たちに、天の助けが舞い降りました。

　声をかけてくれたのは、通りすがりの台湾人の徐黄さんというランナー。私が祖母を引っ張るのを見て、一緒に引っ張って並走、片言の日本語で「ガンバッテ！」と力強く応援してくれました。

34kmの関門をギリギリ1分前に突破。

　三世代プラス徐黄さんで、周りも気にせず「頑張ろう！　ゴールを目指そう！　おばあちゃん」と叫び続けます。なんとか再び1km8分半ペースを維持し、34kmの関門が見えてきました！

　徐黄さんと私で祖母を引っ張りながら、制限時間ギリギリ1分前に関門通過。後ろを振り返ると、白いテープでコースを塞がれ、関門封鎖の様子が目に飛び込んできました。「本当にありがとう」とお礼を伝え、徐黄さんとはここでお別れしました。

　そして、祖母に続行の意志を確認。

私「おばあちゃん、ここから、まだガンバらなあかんよ、どうする？」

祖母「もう走られへん。でも止めたくない」

　本来なら1km9分で走らなければ次の関門に間に合いませんが、祖母の判断で1km12分で歩くことに……。

【次ページ】　残り5kmの看板は見えていたが……。