セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
切り込み、打たせ、自ら決める。
本田がミランで築いた確固たる地位。
posted2014/10/27 16:30
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
AFLO
10番の決めた鮮やかな開幕ゴールから、約2カ月が経った。
「現時点で本田ぬきのミランなど考えられない」(『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙)
7節までに6ゴールを挙げたFW本田圭佑擁するミランは、チーム総得点ランクでリーグトップを走る。
26日の8節フィオレンティーナ戦でも、ミランはリードを奪った。25分にCKから先制点を挙げたのは、MFデヨングだ。
しかし、今回も後半を守りきれなかった。
64分の不用意なボールロストから、MFイリチッチに同点ゴールを許し、1-1のドローにもちこまれた。
守備とゲームコントロールが課題であることは、指揮官インザーギも認めるところだ。
インザーギが明言した、本田のスタメン定着。
本田も得点に絡めなかった。
先発した本田とメネズ、エルシャーラウィの3トップはラツィオを相手に3点快勝した開幕戦と同じだったが、フィオレンティーナ戦での彼らは別人かと思うほど噛み合っていなかった。
ミラン攻撃陣の中で、本田の役割はゴールとアシストに集中することで、かなり明確になっている。
左利きである利点を活かして右サイドから展開し、切り込んで打ち、打たせる。自陣からのカウンターでは高精度のフィニッシャーになる。右SBアバーテの突破力を、本田ほど引き出した人間は、過去のミランにはいなかった。
インザーギに、試合前日会見で自身の完全スタメン定着を明言させ、3トップの「残り2枠をトーレスとメネズ、エルシャーラウィから選ぶ」と言わせるほど、本田は確固たるポジションをつかんだ。