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「体が重い」もCL連勝に貢献の香川。
クロップも手放しで称賛した“創造性”。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2014/10/02 12:55
相手ディフェンスの綻びをすばやく見つけ、的確なパスで攻撃を操った香川真司。ドルトムントのファンは、英雄の帰還を心から喜んでいることだろう。
クロップ「センセーショナルなアシストだった」
そして後半34分、ドルトムント必殺のカウンターが決まる。中央にいた香川が左サイドの裏のスペースにパスを送ると、オーバメヤンがこれに追いついてクロス。ゴール前で1トラップしてディフェンダーをかわしたラモスが冷静にゴールにけり込んで、3-0。これで勝負はあった。
リーグでは苦しんでいるドルトムントだが、CLでは無傷の2連勝を飾った。
そして、この試合で3ゴールに絡む活躍を見せた香川は、UEFAからも『キッカー』誌からもこの試合のマンオブザマッチに選ばれた。
試合後に香川について聞かれると、クロップ監督は手放しで称賛した。
「香川は見事なパスを出していた。1点目はセンセーショナルなアシストだった。この試合は彼による素晴らしいゲームだったのだ!」
香川も試合後には、ドルトムントの攻撃の中心にいる喜びを素直に口にした。
「ディフェンスラインの間や中盤のスペースで受けたいということはみんなに伝えているし、ボールは集まりつつあるので、楽しかったです」
厳しいレギュラー争いが始まる前に、手にした自信。
そして、忘れてはいけないのは――。
両足にボールが吸い付くようなボールタッチを見せていた9月20日のマインツ戦や、チーム最多となる7本のシュートを放った9月24日のシュツットガルト戦に比べれば、この日の香川はコンディションが良かったわけではなかったということだ。
その状態でも、求められていた「創造性」を発揮してチームに貢献したことは、厳しいレギュラー争いを戦う前に大きな自信となるはずだ。
「今は勝ちきることが大事だから。その上で、代表(の試合)に行きたいです」
W杯以来となる日本代表にも選出された香川はそう話し、3日後に行なわれるハンブルガーSVとの試合へと早くも意識を向けていた。
気が早いのか? そんなことはない。
ある試合で結果を残した喜びにひたっているひまなどなく、2試合、3試合と目に見える結果を残し続けていかなければならない。それこそが、ドルトムントの中心として長いシーズンを戦っていくために大切なことだと香川はよく理解しているのだ。