サッカーの尻尾BACK NUMBER
柿谷のCLデビューは、1-5の大敗。
レアルの“別次元”から学べることは?
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph byAFLO
posted2014/09/17 11:25
CL初体験となった柿谷曜一朗は、ギャレス・ベイルとのマッチアップが多かった。世界最高峰のスピード、ドリブル、コンビネーションは、彼にどんな印象を与えたのだろうか。
ロナウド、ベンゼマ、ベイルが活きればマドリーは強い。
「前線の3人、ロナウド、ベンゼマ、ベイルには自由にポジションを変えていいと伝えている。3トップは最高に良かったし、カウンターで上手く攻めることができた」とアンチェロッティ。
この3人が活きる展開になれば、今季もレアル・マドリーは強い。指揮官が誇ったボール奪取後のスピードある攻めからレアル・マドリーは得点を重ね、前半で4-1と試合はほぼ決着がついていた。
柿谷曜一朗が目にした、世界の最高峰。
柿谷曜一朗がチャンピオンズリーグデビューを飾ったのは、そんな時だった。
後半19分に柿谷がピッチに立った2分後には、アンチェロッティはセルヒオ・ラモスを下げるなど、主力の温存にすら入る状況だった。
このまま試合をコントロールし、できればさらに追加点をとって(実際にベンゼマの得点が生まれることになる)、試合を終わらせる。誰もがそんなことを考えていた。
バーゼルにしても、あの試合展開の中で追いつけると本気で考えていた選手は少なかったはずだ。
パウロ・ソウザ監督は試合後、「結果は失望させられたが、我々は別次元のチームと戦ったわけだ。このマドリーには再びCLで優勝できる力がある」と、相手の凄まじさを語るばかりだった。
大敗にうなだれてはいたが、どこかすっきりとした様子でもある。これほど差を見せられると、悔しさは薄まるものなのだろう。
スペインメディアはどこも大勝を賛辞してはいるが、「相手がバーゼルだったから」と付け加えることを忘れなかった。個としても、組織としても、この日ピッチに立った2チームの間に大きすぎる差があったのは、誰の目にも明らかだった。
柿谷は初めてのCLの舞台で、いきなり世界の最高峰を目にすることになったのである。
決定的なシュートや得点に絡む場面もなかった。終了間際、中盤で相手をかわす場面もあったが、持ち味が発揮できたとは言いがたい。彼だけではなく、そもそも、そういう試合展開ではなかったのだ。